館シリーズが戻ってきた!:綾辻行人 「奇面館の殺人」


店頭に並び始めてすぐに予約した「奇面館の殺人」。
思ったよりもずっと早く自分の番になって、大変ホクホクしながら読んだ。
正直「暗黒館の殺人」にはがっかりだったので、ちょっと心配だったのだが、それも杞憂に終わった。
久しぶりに本格ミステリを読んだのもあって、“やっぱ本格面白いな!”と思えた。
(ネタばれ含む!↓)


やっぱり館もの好きだよな~、しかも雪によって外部へのアクセスが阻まれてるなんておいしすぎる!と思いつつ読んだのだが、ちょっと物足りなかったのが一人しか死ななかったこと。
やっぱり、閉ざされた所で一晩に一人死んじゃう…とかいうドキドキ感も好きなんだけどな。
まぁ、今回は一晩しかない設定だったので仕方がないが…

でも流石だな、と思ったのは、その一人が死んじゃうのが半分よりちょっと手前だったので、半分以上が考察・推理のシーンとなる。
こんな長ければ退屈しそうなものが、全然そんなことなくぐいぐいと読めた。

さて物語の舞台となる奇面館だが、今回は仮面が沢山飾られた館。
ちゃんと鹿谷門実が出てくる。

この奇面館で不思議な会合が披かれる。
館の主人・影山逸史が選んだ人たちが集まり、奇面館にて1泊2日過ごす。だたそれだけで、出席者は200万円もらえるのだ。

鹿谷門美の同業者で、なんとなくよく似ている日向京助もこの会合に呼ばれたのだが、体を壊してしまい入院するハメに陥る。でも200万円が欲しい日向は、自分と姿形がよく似た鹿谷に身代わりを頼むのだった。
そんな頼みを簡単に受けられない、と断ろうとする鹿谷だが、そんな彼に日向は言う。この奇面館を設計したのは中村青司だと。

実は日向は、昔「ミネルヴァ」という月刊誌のライターとして奇面館に来たことがあった。
その時に取材した内容を鹿谷に伝えるのだが、当時の主人は仮面をコレクションをしていて、中でもご自慢の仮面が、未来を見せるという“未来の仮面”。残念ながら日向は見せてもらえなかったのだが、中村青司はこの仮面をモチーフに奇面館を設計したという。

そんな訳で鹿谷は日向として奇面館にやってくるのだった。
その会合は本当に奇妙で、皆仮面をかぶることになっていた。もちろん主人も、執事やメイド、料理人も。

会合に募ったのは6人。その中で初参加なのは鹿谷こと日向と、あと一人。
会合で主だったイベントがある訳ではなく、ただ影山氏との一対一の面接のみ。
その時に鹿谷は“未来の仮面”のことを聞くのだが、その仮面は影山が受け継いだ時には既になく、その鍵しか残っていないという。
さて影山氏との面接後、皆で乾杯してそれぞれの部屋で就寝。

その夜に影山氏は殺されてしまう。
しかも頭部と指が切り取られ…
しかもしかも、参加者全員は寝ている間に仮面を被せられ鍵をかけられてしまっていたのだった(鍵のかかる仮面だった)。
実は、アルバイトとして雇われたメイドの瞳子は、影山が殺された夜中に広間でテレビを見ていた。
その広間を通らなくては犯人は逃げられなかったはずなのに…という状況。つまり密室に似たような状況であったわけだった。
もちろん中村青司の館なので、“完全なる密室”になるわけではないのだが…

この中村青司の館・からくりで開く扉と、主人がかぶっていた“祈りの仮面”と切り取られた指が大変関係していく。
それでもって、鹿谷が思っている“先代”と、邸の人たちが言っている“先代”に齟齬があるようだ、というのも鍵となる。

一人しか殺されず、物語の半分ほどが推理、ということで、鹿谷の推理の進め方がじっくりと読めれて面白かった。


綾辻行人 「奇面館の殺人」 2012年 講談社

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