何よりも許せないのが、コナン・ドイルが秋のことを“Fall”ということ。“Autumn”だろ!:Graham Moore “The Holmes Affair”


実はシャーロック・ホームズの一気読みの決行になったきっかけは本書“The Holmes Affair”だった。
シャーロキアンの間であった殺人と、コナン・ドイルが関わった事件が交互に描かれているので、ホームズネタがバンバン出る(当たり前か)。
こりゃ、ホームズちゃんと読んでないと楽しめないな、と思って読み始めたのだった。

正直なところ、本書自体の結末としては本当~~~に残念なくらい、がっかりだった!
なんやねん!!!と怒れるくらい。
要所要所は面白かったんだけどな…
まぁ、シャーロック・ホームズを読むきっかけをくれてありがとう、と言っとこか…

面白かったところというのが、ホームズがワトスンに“Elementry”と言うのが定番のように思われているが、実は一回しか言ったことないんだ、というネタとか。
あとコナン・ドイルはScotland Yardを助けたという事実が本当にあった、というのも面白かった。
というか、コナン・ドイルの話が結構面白かったので、どうせならコナン・ドイルだけの話にすればよかったのにと思う。

Oscar Wildeが出てきたり、バリも出てくる。そして、コンビを組むのがBram。この人は誰なんだろう?と思っていたら“Dracula”の作者だった!すごいなビクトリア時代。
Bramが“Dracula”に使ったと言う文章が良い;

The old centuries had, and have, power of their own, which mere modernity cannot kill. (p244)

それに応えるように、Graham氏がBramに言わせている言葉もいい。
コナン・ドイルはシャーロック・ホームズの人気ぶりに嫌気がさして殺してしまい、2度と書かないと公言してはばからない状態。そんなドイルにBramはシャーロック・ホームズを書けという。その時に行ったセリフ(電気が入った自分の部屋での言葉);

But whenever you take up your pen and continue, heed my advice. Don’t bring him here. Don’t bring Sherlock Holmes into the electric light. Leave him in the mysterious and romantic flicker of the gas lamp. He won’t stand next to this, do you see? The glare would melt him away. … Leave him where he belongs, in the last days of our bygone centry. (p282)

なにはともあれ、物語はというと(ネタバレ注意);


シャーロキアンの中で伝説になっている、コナン・ドイルの失われた日記。
なぜかある時期の日記だけがないのだ(これは本当らしい)。
シャーロキアンの組織の中でも権威のあるthe Baker Street Irrecularsの会合に初めて呼ばれたHarold。
そこにCaleというメンバーが失われた日記を見つけた、という情報が入る。Caleにいち早く会ったHaroldだが、Caleは恐れているようで、とにかく日記のことは明日皆に話す、と言うだけで部屋に戻ってしまう。

次の日にIrregularsの皆が待つなか、なかなか現れないCale。
Haroldが呼びに行くと、なんとCaleは何者かに殺されていた!壁には血で書かれた“Elementry”の文字。
憶測が飛び交う中、Haroldに近付いたのがコナン・ドイルの子孫というセバスチャン・コナン・ドイル。
日記の所有権は自分にある、と言って、Haroldに日記を探すように依頼する。

Caleの犯人の謎を解きたいHaroldはその依頼を受ける。
そして、なりゆきでジャーナリストのSarahと共にロンドンに向かうのだった。
ここで問題となっているのが、滝つぼにモリアティ博士と落ちる前のホームズと、無事生還した後のホームズが、性質上全然違うということ。

お!?これは高田嵩史の「ベーカー街の問題」と一緒じゃん!?
「ベーカー街の問題」ではホームズに照準を当てているが、本書はコナン・ドイルに何があったのか?というのが謎となっている。
しかも失っている日記というのが、コナン・ドイルがホームズを書いていない時期のもの。ということで、この間にコナン・ドイルに何かあったのでは?ということなのだ。

と・こ・ろ・が!あんまりこの問題が生かされてない気がするんだよな~~
まぁとにかく、その現代の話と同時並行で、問題の日記時代のコナン・ドイルの話が進む。

ある日、コナン・ドイルに小包が届く。開けてみると突然爆発!(この時代ではないが、本当にあったそうだ)
Scotland Yardに調査を頼むがあまりあてにならない。
ということで、Bramをお供にして自分で調査を始めるのだった。

その爆弾の下には、ある女性の殺人事件が記載されている新聞記事だった。
それが鍵となるだろう、ということで事件を追っていくことにする。
すると一つの事件ではなく、実は連続殺人事件だったということが分かってくる。
リンクするポイントというのが、3つの頭を持つカラスのマーク。
それをたどっていくと、女性に選挙権を、という運動に参加している女性だということが分かってくる。

結局最終的には、このコナン・ドイルの話とHaroldの話がリンクするのだが(もちろん日記の面で)、まずHaroldサイドの話で、失われた日記は本当にこの世にはないのだ、ということが明らかになる。
というのはBramの手紙を読んでみると、Bramこそがコナン・ドイルの書斎から日記を盗み出し処分してしまったという事実が見えてくる。
コナン・ドイルの為を思ってこその行動らしいのだが、では何故Bramは処分したのか…?というのがコナン・ドイルサイドの話で出てくる。

一連の女性の殺人犯を見つけ出したコナン・ドイル。
犯人である青年から殺人について聞き出すのだが、ちゃんとした証拠がない。そこでBramと共に、証拠を求めて彼の家に忍びこむのだが、運悪く出会ってしまう。
もみ合ううちに青年は死んでしまう。はっきりコナン・ドイルが殺したのか分からないのだが、警察に弁明するには難しい状況。
Bramとコナン・ドイルは逃げるのだった。
その出来事を日記に書いたのを知って、Bramは処分したというわけだったのだ。

もちろん、Haroldサイドもこのまま終わるわけではなく、Bramは処分することができなかった、ということに気付き、スイスにあるシャーロック・ホームズミュージアムだかで見つけ出す。
日記を読んでHaroldが涙を流して終わり、というわけなのだが、なんで涙を流したのか私にはさっぱり理解できなかった。なんで???

ちなみに書き忘れたが、CaleはBramが処分してしまった、という事実にしか辿り着かなかった。
ずっと追い求めていた日記が実は存在していなかった、と知ったCaleは自殺を図る。
ところがさすがシャーロキアン。単純に自殺しない。
他殺と見せかけた自殺を行い、失われた日記の探索を他者に促すのだった…というのが、こちらの事件の真相だった。

Caleが自殺、というのは割とあっさり出てきて、嘘だろ~と大変白けた。どんでん返しも期待してたのに、全然そんなこともなく。

とりあえず、Haroldサイドの話があまりにちんけだったと思う。
確かにコナン・ドイルの説明とか伏線としては、なくてはならない部分だったかもしれないけれども、あまりにお粗末で、せっかくちょっとは面白いコナン・ドイルサイドの物語も台無しだった。


Graham Moore “The Holmes Affair” 2011 Arrow Books

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