今度いつか英語で挑戦してみたいもんだ:コナン=ドイル 「シャーロック=ホームズの事件簿(下)」


いよいよ最後!なんだか寂しいなぁ。
さすがに一気読みは、最後の方に飽きてきたけれども…

でも子供の時には、さして面白いと思わなかった本を夢中になれてよかった。
やっぱりホームズはすごかったのね、と再認識。

ちなみにホームズといえば、というあの格好。チェックにあの帽子とマント。あの格好、全然好きじゃないのだが、実際のホームズはほとんど着ていない、というのが分かってなんとなく良かった。
なにはともあれ最終巻。

大変珍しいことにホームズ目線の話が二話あった。
が、とても残念なことに全然面白くなかった。ワトスンの偉大さがよく分かった。

ホームズが書くと色々と厭な感じ。すごい事件だ、とか自分で言われてもね~
ホームズとワトスンの関係ってお能みたいなもんなのかな、と思った(お能では、ワキ方が状況説明したりして、シテ方がべらべらと自分のことを話すという状態を回避しているらしい)。

しかも事件自体もあんまり面白くなかった…
最後なのに残念。
収録作品は(ネタバレ注意);

「三破風館」

ある未亡人から相談を受ける。
なんでも夫人の住む館を売ってくれ、という話が出たのだが、おかしなことに家の物すべて置いて行け、という条件付きだったのだ。売ったお金で旅に出ようと思っていた夫人は、家具とかはいらない、と思っていたのだが、“すべて”というのは、本当にすべて一切合財の話だったのだ。
ホームズは売るのは止めて、最近亡くなった息子さんの遺品を特に注意して警戒した方がいい、と助言するのだが、それも空しく泥棒が入り、それが盗まれてしまう。
実はその息子、あるお金持ちの未亡人に本気で恋をしてしまい、相手が本気でないと知るや、二人の関係を小説に仕立て上げていたのだった。
それを知った未亡人は、息子の遺品をなんとか取り返そうとしての犯行だった。

「白面の兵士」

ホームズが書いたという態の話。

依頼人は兵隊。大変仲の良かった兵隊友達とまったく連絡が取れなくなってしまった。
友人は父親とうまくいっていないようで、依頼人はこの父親が怪しいと思っている。
そこで両親の家に行って泊まるのだが、夜、確かに白い顔をした友達を窓の外に見たという。
真相としては、その友人はらい病にかかってしまった疑いがあって、隔離されて生活していたということだった。
しかも最終的にはらい病でないことも分かる。

「ライオンのたてがみ」

これもホームズが書いている形式。

しかも探偵業を引退して、サセックス州で隠遁生活している時の話となっている。
ホームズが散歩していると、職業訓練所の先生が倒れていた。ホームズに「ライオンのたてがみ」と言って絶命。
海からやってきたようだが、そこには誰もおらず。でも死んでしまった先生には恋敵がいた。

真相は非常にがっかりしたものだった。
犯人はくらげ…。しかもコナン・ドイルの創造したくらげ。え~推理小説でこんな展開でよいのか!?と思ってしまった。

「引退した絵具師」

ワトスンの目線に戻ってほっとした一作。

依頼人の絵具師は非常にけちな老人で、あまり印象がよくない。大変歳の離れた女性と結婚し、その女性が失踪したという。
ホームズに頼まれて調査に来たワトスンは、金庫のペンキを塗り替えている依頼人に出会ったりする。
珍しく、依頼人こそが犯人だった、というお話なのだが、まぁ見るからに悪人面ってのがね…という、意外性を狙っているのかと思いきやそこまで意外でない展開。

「覆面の下宿人」

ホームズが事件を解決しきらない、という話は時々出てくるが、大概、人は死んでしまったが謎は解けた、というもの(そうじゃないと話にならないし)。一方この話は、ホームズが解けなかった謎を、後日、事件の当事者から真相を聞く、という大変珍しいお話。多分、他の推理小説でもこんな形式なのはないんじゃないかな。

謎というのが、サーカスでの事件。団長が悪すぎて落ちぶれたサーカスが舞台。
団長と、その美しい妻はライオンのショーを行っているのだが、ある晩、突然の悲鳴に団員達が駆け付けると。
団長は虎にやられて死んでおり、ライオンは妻を襲っている。いつも餌をあげている二人になぜ?という出来事だった。
その妻、今となっては未亡人が語る話というのが、実は夫を殺したのはライオンではなく、自分に好意を寄せている男と自分であったという。団長を殺して、ライオンに襲われたと見せかけるためにライオンを檻から出すと、あろうことか、血の匂いで興奮したライオンは夫人を襲いかかったということだったのだ。

この話でホームズがしたことと言ったら、夫人が青酸カリを飲んで自殺しようとしているのを知って忠告するくらい。
でも夫人とホームズのやり取り;

「わたくしなどが生きていても、なんのやくにたつでしょう?」
「どうして、そんなことをおっしゃるのです?しんぼうづよく、受難にたえておられるあなたの生きかたは、せっかちな世間の人びとに、なによりも、とうといものを教えてくれますよ」(p233-235)

を読むと、ホームズの優しさがうかがえて、“滝から生還したホームズは別人のようだ”という説がしっくりこなくなる。

「ショスコム荘」

サー・ロバートは借金の為に身動きが取れなくなってしまっており、今度のダービーでなんとかして自分の馬を勝たせなくてはいけない。そんな状況の中、サー・ロバートは気がくるってしまったようだ、と言って調教主任がホームズを訪問する。

サー・ロバートには妹がいて、実はその妹は大変なお金持ちの未亡人であった。
妹が死んでしまうと相続権は、亡くなった妹の旦那の弟のものになってしまうのだが、今の内は妹のお金でなんとか生活しているサー・ロバート。
本来妹と仲良かったはずなのに、どうやら喧嘩をしてしまったらしい。
それどころか夜な夜な墓場で、お墓を荒らしているようなのだった。

結局、妹は持病のために死んでおり、ただ妹の死が発覚すると財産が0となってしまうサー・ロバートは、なんとかダービーが終わるまで隠しておきたかった。
そのために色々と工作していた、ということだったのだ。
最終的にはダービーに勝って、サー・ロバート的にハッピーエンドに終わる。


コナン=ドイル 「シャーロック=ホームズの事件簿(下)」 福島正実/加藤喬/常盤新平/内田庶・訳 1984年 偕成社

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