志駕晃「スマホを落としただけなのに」

今更感があるけれども、本書「スマホを落としただけなのに」、すっっっごく面白かったーーー!!!

久しぶりに一気読みしてしまった。しかも日曜日の夜に。
月曜日の朝早いからと思って、いったん置いたけれども、月曜日の朝、早起きして仕事しようとしたのにこれを読んでしまった…

ぐいぐいと読ませる展開に、文章も合わせて読みやすい。
よくよく考えると、”はて…”と思うことや、”結局…”と思うこともあって、プロット的に弱いところもあったのだけれども、読んでいる時はそんなの気にならないくらい、ガ――――っと読めた。

いや~久しぶりに、がっつりエンターテインメントな本読めて楽しかったー

以下、すっごいネタバレ含むあらすじです。


物語は3つの視点で進行する。

1つ目は、いわゆる犯人の視点。
犯人はある時スマホを拾う。待ち受けには男女の写真で、女性がえらく美人で自分のどストライク。
そうこうしているうちに、”稲葉麻美”という人から着信がある。
それがこの写真に写っている女性だと検討付けた犯人は、なんとしてでも彼女を欲しいと思う。

2つ目の視点は稲葉麻美。
彼氏である富田誠の携帯にかけてみたら知らない人が出てくる。彼が携帯を届けてくれることになったが、結局直接会うことなく携帯が届けられたため、すっかりいい人という認識を持つ。といっても、その後、特に接触はない。

就職活動に失敗し派遣社員として働きつつ、大手会社に勤める富田と付き合っている麻美。
富田にプロポーズされたが、なんとなく返事ができないでいる。
というのが、少し富田が頼りないところがあるからだった。

3つ目の視点は警察。
山菜を取っていた女性が、山の中で死体を発見したことをきっかけに、山の中を捜索している。
その山の中で、次々と死体を発見することになる。
すべて全裸の女性で、長い髪であるという共通点を持つ。が、なにせ全裸なので身元の確認が難航している。

基本的に警察の視点は、死体が次々に見つかることがちょこちょこ出てくるだけで、あまり進展はない。
これで、犯人が連続殺人犯で、次のターゲットが麻美であることが分かるくらい(麻美も髪が長いので)。

犯人はFacebookでターゲットの麻美のことを徹底的に調べあげる。
運の悪いことに、それまで麻美はあまりFacebookを使っていなかったのだが、ちょうど友達にFacebookの面白さを教えてもらったところで、積極的に使い始めてしまう。
そこになりすましアカウントで近づく犯人。

それだけではなく、富田の携帯にマルウェアを送り付けたりもする。
運よく知り合いに頼んだが、その人は用事があったものの、違う人を紹介してくれたことにより事なきを得たのだが、今度は麻美も同じウィルスにかかってしまう。

同じ人に助けてもらったのだが…その相手こそが犯人だったのだ。

麻美を拘束し、麻美の死体を埋めるための穴を掘りにいった犯人。
その間に麻美はなんとかスマホに近づこうとするがうまくいかない。しかしSiriを呼び出して、富田に電話をかけるのだった。

絶体絶命、というところで富田が登場。たまたま麻美の携帯に場所を特定するためのアプリを入れていたので(麻美の合意のもと、念のため)、場所を突き止められたのだ。
ところが麻美の秘密をばらす、という犯人の脅しに、麻美が屈しそうになったとき、富田も捕まってしまう。
と危機一髪のところを警察が踏み込んで、一件落着。

麻美の秘密というのが…
大学時代、山本美奈代と稲葉麻美は姉妹と思われるくらい仲が良かった。
二人は一緒に住んでいたが、麻美は鬱になってしまう。
美奈代は就職に失敗し、ブラック企業に勤務。ある時我慢ができなくなって辞めてしまう。
その後、麻美のうつ病の医療費を消費者金融で借りてしまったこともあり、もっと首をしめられた美奈代は、つい出来心でAVに出演してしまう。
それが、AVの会社の不注意で、美奈代の身バレにあい誹謗中傷にあった美奈代。

そんな中、麻美は自殺してしまう。しかも「私の身代わりになって生きて」というメッセージと共に。
実際、麻美は美奈代の身分証明書を持って、顔が判別できなくなるよう電車に飛び込んだのだ。
こうして、美奈代は麻美として第二の人生を歩むのだった。

しかしこの一件で、富田に麻美の秘密もばれてしまった。
その前から少し険悪になってしまっていた二人だったので、麻美は退院した後、どうしようかと考えあぐねている。そこへ富田から「新しい戸籍で自分とやり直さないか」というLINEメッセージが届くのだった。


警察の捜索が、あまりにさらーーっと描かれているので現実味が薄かったり、麻美の過去いる…?という最後のぶっこみ具合だったり、犯人のかわいそうな過去いる…?という割とありきたりな過去だったりと、ちょっと設定に甘いところはあったけれども、この勢いで読むには、これくらいのさらーっと感や、分かりやすい設定でもよかったのかな、と逆に思ってしまった。

最後のハッピーエンドも陳腐かもしれないけれども、私はこれはこれで良い気持ちで終わったからよかったかなと思った。
とりあえず、犯人のマメさにはびっくり。自分では絶対にできないわ、という妙な感想も持ってしまったのだった。


志駕晃「スマホを落としただけなのに」2017年 宝島社

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