とりあえず女性が強い本

高殿円 「カミングアウト」 2011年 徳間書店


自分の中で注目中の高殿円。
正直、本書「カミングアウト」はトッカンシリーズなどに比べて劣った気がしたけれども面白かった。
ところどころご都合主義なところがあるものの、全てがハッピーエンドにならないのが好感が持てた。
さらさらっと読めるし、後味すっきりなのもエンタテイメント小説!って感じでよかった。
登場人物が何人か出てきて、互いに微妙に交差しながら話が進む。
皆それぞれ秘密を抱えていて、最後には爆発!という、まさに“カミングアウト”が題材となっている小説だった。


まず一人目は女子高生。
援交盛りの子なのだが、ちょっと変わっているのが何人かキャラクタを持っていて完璧に使い分けているということ。
コインロッカーをクローゼット代わりにして、自分を殺してキャラを作って男性に会う。
ところがホテルに入ってシャワーを浴びている間に、男の方が逃げて、しかも警察に通報。慌てて逃げる、ということころでこの子の話は一旦終わる。
次は年齢的に崖っぷちなOL。
彼女は生粋のロリィタ趣味をお持ちで、でもそれを親には嫌がられている。なのでお茶会なるものに出席する時も、鞄にロリィタ服を忍ばせてトイレで着替えなくてはいけないという状況。
そんな時に、昔新人教育を施した後輩(男)が転勤先から帰ってくる。爽やか青年に食事などに誘われて、こりゃ固い、という状況。
でもロリィタのことは好きなのかしら?受け入れてくれるのかしら?と悶々としていると、遂に告白される。というところで一旦終わり。
お次は主婦。しかも専業主婦。
恋愛結婚したものの、子育てに追われる内に“女”でなくなってきていることに気付く。
夫に意を決して夜を誘ってみたのに拒まれてショック!
実は買い物用に、とPCを購入してから、日々出会い系のチャットにはまっている彼女だった。といっても実際に会うこともなくただ相談に乗ってもらっているだけだったのだが。
娘とも全然うまくいっていない彼女は(読んでいるうちに援交している子の母親と分かる)自分の存在意義を求めたくて夫を誘ったのにうまくいかず、遂にはチャットの相手に会うことにする…というところで一時停止。
今度は唯一の男性目線。
結婚しないまま中年になってしまった男性。付き合ったことがあっても、結婚というコミットメントが下せないまま来てしまった。
両親が亡くなり思うことがあって、墓場を買おうとやってきた墓地にて女の子に出会う。靴を履いていない彼女に靴を買ってあげたことから交流が始まる。
ただ話をするだけの二人だったが、たまたまラブホの前で立ち止まってしまった時に(本人達はラブホ前と気付いていなかった)警察に捕まってしまう。
「俺が彼女を好きで悪いか!」と叫んでしまって一旦幕引き。
最後はもうすぐ夫が退職、という女性。
もう夫のことが嫌いでしょうがない。夫は無口の上に亭主関白で、口が達者でない分、物にあたる。
退職後に離婚してやろうと、へそくりをためている。
健康のためにボクシングジムに通っているのだが、そこで仲がいいのがロリィタOL。
夫への復讐にある計画を企てているのだが、その日までさしせまったところで終わり。
次は“カミングアウト”というタイトルの元、いっぺんカミングアウトとなる。
まず、援交の女の子とおじさん。
警察に捕まってしまい、女の子の母親が呼ばれる。つまりチャット相手に出会う間際に、警察に呼ばれたので未遂に終わる。母娘は和解するわけではないけれども、わだかまりはなくなる。
母親の方は、夫にありのまま語り、こちらの夫婦はめでたしめでたし状態になる。
さてロリィタOL。テレビの番組で、会社に行きそこの屋上から思いのたけを叫ぶ、というのがあるのだが、それに後輩が応募していた。そんな訳で叫びましょう!となる。
これは一か八か、ということでロリィタの服を持っていざ会社へ。
途中で気がくじけるのだが、会社に着くと自分の上司が援交の疑いで役員に詰問されていた。
そこへ現れたのがあの女の子。
役員にまくしたてるのを聞いて、ロリィタOLは勇気をもらって叫ぶのだった。
結果としては家にいられなくなり引っ越すことになる。
でもボクシングジムの友達の女性と家が近くなる。
その女性はというと、やりたかったということが、ジムで鍛えたパンチを旦那に食らわせることだった。
いざパンチしてみると!ずっと本物の歯だと思っていたのに入れ歯だったことが判明!
なんだかそれでおかしくなってしまい、離婚せずとりあえず一緒にいることに。
引退した旦那をこき使うこととなったのだった。
うまくまとまってて(若干まとまり過ぎ感もあるけど)、安心して読める本だった。

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