こういう学園物の先生の存在のなさよ…

桜庭一樹 「青年のための読書クラブ」 2007年 新潮社


学術書を読まなくてはいけない期間に、軽ーーーい本を読みたくて、図書館の棚をぶらついていた時に
それこそ遠い遠い昔に、友人が面白いよと言っていた本を見つけた。
その友人とは交友も途絶えてしまっているのだが…(それくらい遠い昔)
ちょっと言いたい。本当にこれ、面白いと思って君は勧めたのか?と…
ファンタジーな女子高と思って読めばいいのかもしれないけれども
そうとは思えないくらい内情を知っている身としては、
「いやいやいやいやいやいやいやいや」という気持ちしかなかった…
そして何よりも…聖マリアナに違和感…
いやいやいやいやいや、こんな功績とか特にないし、奇蹟みたいなことも起こしてない人に聖人認定されないやろ。
しかも「聖マリアナ学園」って、生きてる時から聖人扱いされてる…!?なんで!?
頭硬いので、どうしても気になって、あまり楽しめなかった。
勧めてくれた子も同じバックグラウンドのはずだったのに、その子の方が柔軟性があったのか…
とりあえず、以下簡単にあらすじ


「烏丸紅子恋愛事件」
聖マリアナ学園は、裕福な女子たちが通う幼稚舎から大学までそろう学校。
幼稚舎から高校まで同じ校舎で、大学だけが他の場所。
めちゃくちゃ広いこの敷地面積は、一般に公開されておらず、謎に満ちている。
権力を持つ生徒会、花形の演劇部を筆頭に、色々な部活があるが、そのなかでひっそりと存在しているのが読書クラブである。
いわゆる、学校になじめていないような変わった人たちが南の校舎に集い、紅茶を飲みつつ読書をするという活動である。
第一章は1969年の話である。
前述の通り、読書クラブというのははみ出し者の集まりである。
そこへ転校生が現れる。それが烏丸紅子である。
一貫校の常、転校生に対して、異物のように扱うマリアナ学園正にまったくなじめないまま、
さまよったあげくにたどり着いたのが読書クラブだったのだ。
異物扱いされているが、この紅子、容姿はすこぶる端麗であった。
それに眼をつけたのが部長の妹尾アザミである。
学園の頂点に君臨してやろうと、紅子を使うことにする。それに「シラノ・ド・ベルジュラック」にならって行うことにするのだ。
つまり、アザミが紅子の頭脳となり、あれこれ指図させながら、少女たちの人気を集めるのだった。
学園祭では「王子」を選ぶ伝統があり、大体が演劇部から選ばれていた。
アザミの指導のもと、アウトローな麗人となった紅子はみごとに王子となる。
しかしその過程で知り合った男性と恋に落ち、学校をやめてしまい、ショックを受けた少女たちは、これをなかったことにするのだった。
因みにこういった、学園で葬り去られそうな事件を代々書き留めるというのも、読書クラブの活動の一部で
全編を通し、誰かが書いているという態でつづられる。
「聖女マリアナ消失事件」
聖女マリアナの物語である。
マリアナには、厳格な父、明るい母、そして兄がいた。
兄は父親とそりが合わず、「神などいない」と言って怒らせ、家を出てパリに住んでいる。
一方、マリアナは父の期待を一身に背負って、聖職者となり、勉強をしにパリにやってきたのだった。
父に似ているのに、兄ミシェールはマリアナのことを愛しており、二人の仲はとても良かった。
パリにいる間、マリアナは兄が働く読書クラブに遊びに来たりしていた。
そしてマリアナの念願がかなって、日本へ学校を創立に渡る三日前、
ミシェールと一緒に読書クラブをやってるラウルがマリアナを訪ねる。
ミシェールが病に倒れているというのだ。
マリアナには伝えるなと言われたが、1週間も熱にうかされ、いてもたってもいられなかったのだ。
マリアナは神に「魂がこの世に迷ったまま天に召されることがないよう、救ってください。どうしてもおっしゃるのならば、代わりに私の命を差し出します」と祈るのだった。
果たして次の日、ミシェールはすっかりよくなって起きる。
そして枕元に座っていたマリアナは亡くなっていたのだった。
妹の夢をかなえるために、亡くなったのはミシェールということにして
マリアナとして日本に渡ることにしたミシェール。
そこで立派に聖マリアナ学園を建設し、関東大震災、第二次世界大戦と経験して日本に留まり続けたのだった。
そしてある日とつぜん、姿を消す。
本章を記述している生徒が、ある時に気付く。
聖マリアナ失踪前に、マリアナの口利きで入った庭師の老人がマリアナそっくりであることを。
その老人も読書が好きということで、その生徒は懇意にしていたのだが、
その老人こそがマリアナだということに気付いたのだった。
いわく、マリアナのまま亡くなっては、男とばれて一大事になるからということだった。
しかし、生徒にばれてしまったから危険だ、ということで本当に学園を去るのだった。
「奇妙な旅人」
バブル期の話。
由緒正しい家の子供たちしかいかなかったマリアナ学園だが、
いわゆる成金の家の少女たちが入ってくるようになる。
しだいにその勢力が増して、それこそ貴族の家系であったり、政治家の家の子たちで成り立っていた生徒会に乗り込み
ついにはその座を奪い取ってしまう。
元生徒会たちはリベンジとばかりに、
OBといった自分たちのコネを使って、その子たちを陥れ、補導させる。
その間に、生徒会の地位を奪還したのであった。
成金たちの主要メンバーであった三人は、学園に戻ってくると
それまでとはうってかわって冷遇され戸惑う。
そして行き着いた先が読書クラブだったのだ。
極力ひっそりとしたい読書クラブは、関わり合うことには否定的だったが
その中の一人が見捨てられない質で、扉を開けてあげる。
三人はここでも傍若無人にふるまっていたが、三人のうち二人はそのままの状況で卒業したものの
残りの一人はすっかり読書クラブに帰化し、この顛末の記述者となったのだった。
「一番星」
2009年の話である。
山口十五夜は容姿も端麗で、元伯爵家のご令嬢でもあり、むしろ生徒会にいても良いような子だったのに
非常に引っ込み思案で、庶民の加藤凛子にひっついて読書クラブに入部してきた子である。
凛子が読む本を読み、おずおずと感想を述べれば、凛子に批判され、それでも凛子にひっついていた。
ある日、十五夜は凛子に、ボーイフレンドができたのか、日曜日に神保町にいなかったか、と問う。
凛子は否定する。
それがきっかけで起きた事件である。
それを聞いた十五夜は、一年生以外が部室を去った後も残っていた。
戸締りをするべく残っていた一年生は、何か話題を提供しようと、前に見つけた鍵を見せる。
それは机の引き出しの鍵で、開けてみると、
マリアナが日本に行くと言った時に、ミシェールが彼女にプレゼントとして送った苺の香水瓶が出てくる。
それを自分にふりかけた十五夜は突然人格が変わってしまう。
ついには理科室で活動していた軽音部へ、ボーカルとして入部してしまう。
歌は文学を歌詞にしたロックで、十五夜の美貌も伴い、熱狂的に支持される。
生徒会まで巻き込み、野外ライブまで行う。
そして事件が起きる。
凛子へ親愛な感情を抱いていたのに、神保町でボーイフレンドと一緒にいるのを見つけたばかりか、それを否定された、
裏切られた、という趣旨の歌を歌うのだった。
凛子は一回、十五夜に怒鳴り込みに行くが、その後は新聞部の取材にも応じず、誰にも弁明などしなかったが
読書クラブには、本当にボーイフレンドはいないし、十五夜が言ってた日に神保町には行ってないと言う。
苺の香水のせい、つまりは自分のせいだと思った一年生は、色々と仮説をたてる。
そしてついに、凛子によく似た青年を見つけ出すのだった。彼はマリアナ学園の系列校である男子校の生徒だったのだ。
そこにも読書クラブがあり、その部長だったのを男子校のホームページで見つけて写真もあったので
匿名で写真部に送ると、写真部もすかさず記事にした。
その後、十五夜から凛子へ手紙が送られ、そこには切々と疑って悪かったという旨がしたためられていたのだった。
学園祭での最後のライブで完全燃焼した十五夜は、また何事もなかったように読書クラブに戻ってきたのだった。
「ハビトゥス&プラティーク」
ついに聖マリアナ学園が男子校と統合され、共学になるという前年。
読書クラブは五月雨永遠一人となってしまっていた。
しかも読書クラブがあった校舎は老朽化にともない危ない校舎となり、永遠はそこからも追い出されてしまったのだ。
愛読書の「紅はこべ」の本を読んでいると、生徒たちのなかで「ブーゲンビリアの君」の噂が広まっていることを知る。
2019年にもなり、いかに由緒正しい学園とはいえども情報社会の波には勝てず
生徒たちがこっそりと携帯などを持ち込むことが後をたたず
先生方はそれらの没収に明け暮れていた。
しかし、没収されたものがこっそりと返されて、しかもその脇にはブーゲンビリア。
少女たちは「ブーゲンビリアの君」と名付けて、妄想たくましく美しい誰かが届けてくれたのだと噂しているのだった。
それを聞いて永遠は青ざめる。
なぜなら「ブーゲンビリアの君」こそ自分だったのだ。
しかし自分は小太りで、皆が想像している像とまったく異なる。
しかも義憤にかられてというよりも、「紅はこべ」に憧れ、それにならうかのように、
ちょっとしたゲーム感覚でやっただけのことなのだ。
演劇部は最後の学園祭で、この「ブーゲンビリアの君」について上演することに決めたが
いかんせん、情報がまったくない。
ひょんなことで部長が永遠こそが「ブーゲンビリアの君」と気付き、
誰にも言わないという約束のもと、詳細を聞いて劇を書き上げるのだった。
学園祭当日。
卒業生で議員となった妹尾アザミが来賓としてやってくる。
そこでかつて自分が所属していた読書クラブの部員を呼んでもらうと、演劇部の上演を見るのだった。
永遠がやってくると、妹尾議員は永遠こそが「ブーゲンビリアの君」ではないか、と当ててしまう。
いわく、「紅はこべ」を下敷きにしたような事件、読書クラブの部員でないとやれないだろう。
そして永遠から読書クラブのあった校舎も取り壊しのため中に入れないのだと聞くと、
暗黒の歴史を代々書いてきたノートも消えてしまうのかと嘆く。
それを聞いた永遠は、「ブーゲンビリアの君」になり、
つまりシスターになりすまして校舎に潜り込み、そのノートを回収して妹尾議員の鞄に忍び入れるのだった。
そのとたんに校舎は倒壊し、その直前にまた「ブーゲンビリアの君」が現れたと知った生徒たちは騒然とする。
その中、妹尾議員はハイヤー車に乗ると、次の予定の場所に行く前に中野に寄る。
そこには「ハビトゥス&プラティーク」という喫茶店らしき店があり
中に入るとかつての読書クラブよろしく壁には本棚、そしてかつての読書クラブの部員たちがいるのだった。
その中には紅子もいた。
アザミは、今遭遇した永遠とその事件について語り、永遠が取って来てくれたノートを渡すのだった。
もう一つ、割と大きな違和感があるのだが…
それが少女たちの口調。「ぼく」はぎりOKとしても、なんでわざわざ男の子っぽい言葉で話すのかな…
特に由緒正しい学園の子たちが…
これはファンタジーだ、ファンタジーだと言い聞かせて読んだけど、なんかしっくりこないまま終わってしまった。

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