ギリシアから本当に泳いで帰ったらふやけそうだ:奥田英朗「泳いで帰れ」

三浦しをん姉さんお勧め本リストのストックから一冊;「泳いで帰れ」by奥田英朗

なかなか個性的な(?)なタイトルから察せられる通り、文章全体からにじみでるおもしろさがたまりませんでした。

内容はというと、アテネオリンピック(ということは前の前のオリンピックですな)の野球を見に行こう!という名目で、作家・奥田英朗(出不精)がアテネまで行ってしまう旅行記です。

直木賞まで取られているそうですが、お恥ずかしながらお名前も知りませんでした。すみません。でも、これは面白かった!

アテネオリンピックなんて記憶がおぼろげで。というかその時は国外にいたものだから(しかもあんまりオリンピックに興味のない国)、オリンピック気分にひたってなかったので余計記憶にないのでしょう。
でもゴールドラッシュだったのは覚えています。あと、オリンピックのメインスタジオは果たして仕上がるのか!?と心配されていたことも。

それはともかく、どうしてこう作家って旅をこんなに面白く書けるのでしょう?(作家だからという答えはなしに)
多分、私が同じくアテネオリンピックに行ったとしても、こんな面白くレポートできる気はまったくしません。

奥田さん本人が書くように”海外旅行の土産話は、その大半が五割増しで語られる(p5)”から、この旅行記も実際より面白く書いてあるのかもしれません。でもやっぱり、楽しい旅をして、それでもって楽しい旅行記を書けるなんていいよなぁ~と思ってしまうのでした。

奥田さんが書いていることいえば、簡単に言ったら、オリンピックを参戦して、ギリシアの暑さに辟易して、ビールを飲んで、クルーズに行って、日本人と他国の人の違いをひしひしと感じて、最後には負けた日本の野球チームにぷんぷんして終わっているわけですが、それを面白く書けるってさすがだなぁ~と妙に感心してしまったのでした。

まあ、しきりに感心してみせたのは、そうじゃないと「ずる~~~~い!!!!!私もギリシアに行きたい(オリンピックはいいけど)!!!!!」という気持ちが噴出しそうだったからでした、はい。奥田さんよりは旅行好きなのでね。

日本人と他国の人との違いといえば、オリンピックという性質上のためか、席取りから知る違いが面白かったです;

 世界の国境線がどうやってできたのか、なんとなくわかった気がした。日本人の感覚では、自分が一歩引けば向こうも引くと期待する。しかし世界はそうではない。一歩引けば、向こうは踏み込んでくる。国境線は話し合いで決められたわけではない。戦争の末だ。熾烈な鍔迫り合いの結果、生まれた線なのだ。

p80

(奥田英朗 「泳いで帰れ」 2004年 光文社)

コメント

タイトルとURLをコピーしました