「永遠のソール・ライター」@美術館「えき」KYOTO

訪問した日:2021/03/21
★★★☆☆

感想

正直、絵画のように良さがよく分かっておらず、”ソール・ライター”のお名前もこの展覧会で初めて知ったくらいだけれども、それだけに直感的に好き/あんまり…(というか“ふーん…”に近い)と思ってしまう写真という分野。
ただ「ソール・ライター」展については、東京でやっていた時にポスターを見て行きたいなと思ってた展覧会。
京都でやってると知り、これは是非と思って行ってきた。

結論から言うと、非常に好みの写真たちだった。

一瞬、図録も買おうかと思うくらい。
それは家の本棚の状況を思い出して、ポストカードで我慢することにしたけれども。
ということで、以下の写真はポストカードより。

まず構図がすごい。
日本の浮世絵につながりそうな斬新な構図。
壁やメインオブジェクトでないバスや、窓の枠などで画面の多くを隠し、ほんのわずかのスペースに主題が写ってる、みたいな。

天蓋:Canopy, 1958 ©Saul Leiter Estate

もしくは大胆な余白をとったり。

煙突:Smokestack, 1970s ©Saul Leiter Foundation

また構図に関連してだけれども、ピントがあっている所も非常に限定的だったりもする。
その写真の中で一番大きなオブジェクトや手前のものにピントが合ってることはほぼなく、ほぼ大抵はちょっとはずれたところに、しかもものによっては本当に小さいものにのみピントが合ってる場合もある。

このピントの話でいうと、ポストカードにはなかったけれども、《靴》というタイトル(確か)の写真が特に好きで、それはピントが合っていないバスで画面大半が埋められ、バスの向こうに立っているのであろう人物の、小さい足にのみピントが合っている、というものだった。

色彩に関しても基本コンセプトは同じで、鮮やかな色がよく使われているのだけれども、それがピントが合っていなかったり、水滴のついた窓越しであったりするので、抽象画的になって非常に面白い。

薄紅色の傘:Purple Umbrella, 1950s ©Saul Leiter Foundation

あとは指し色のように、一部に効果的に使われているのも印象的。

足跡:Footprints, c.1950 ©Saul Leiter Estate

ソール・ライターは「カラー写真のパイオニア」と呼ばれていたみたいだけれども、白黒写真も非常に面白いものが多く、色彩感覚はもちろん優れていたのだろうけれども、その真髄はモチーフの見方のユニークさや、構図の組み立て方の秀逸さにあったのではないかと思った。

写真というほんの一瞬をとらえるもの、特に今回の展覧会での作品ではストリート写真がほとんどだったので、そういった偶然の一瞬を、あんなにも的確に、面白い構図で、かっこいいピントの合わせ方で撮れるって神業としか思えなかった。

と、今帰ってからこれを書きながら、やっぱり図録を買っといた方がよかったのではないかと軽く後悔している…
それくらい良い展覧会でした!

フライヤー

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