本願寺特別拝観ツアー@お寺きゃんぷフェス

行った日:2021/11/13

通信で通っている大学の卒論で江戸初期の障壁画をテーマにしているので、同じ時期の障壁画を持つ西本願寺の書院を見てみたくて仕方なかったところ…SNSで知った「お寺きゃんぷフェス 2021 in 本願寺」。
体験として「本願寺特別拝観ツアー」がオプションとしてあるではないか!

ということで参加させてもらいました!

好きなフードと体験が1つ選べて…無料!!!なにこの太っ腹企画!!!?

そして…念願の本願寺特別拝観ツアーは最高でしかなかった。。。
残念ながら、というか、当たり前ながらというか、中は撮影禁止だったので記憶がなくなる前に書き留めておくと。

まず案内されたのが、西本願寺というお寺にとって重要な御影堂。
びっくりするくらい太い柱に支えられた、広い空間。きっちり座れば1000人くらい収容できる広さとのこと。広さと雰囲気にのまれて厳粛な気分になり、なんとなく正座して(足崩してくださいと言われたけれど)お坊さんが語る西本願寺の由来を聞く。
秀吉が、応仁の乱で荒廃した京都を立ち直す事業の一環で、大坂にあった本願寺を招いたのが、ここにできた始まりとのこと。

次にいよいよ書院へ。
入ってすぐの「虎の間」はひどく痛んでいたということで、復元したものとのこと。
杉戸に虎が思い思いの姿で遊びまわる姿が描かれていた。二条城と同じく、豹も混じっているけれども、おそらくメスと間違えてだろうという説明が入る。子ども4・5匹がじゃれあってたりして、動きは完全に猫なのも可愛い。

そこを抜けると庭には南能舞台。それに向かい合うように「鴻の間」がある。
この能舞台では親鸞聖人の誕生日に祝賀能が行われるそうだ。それもコロナで去年・今年とできなかったらしい。「コロナもそうですが、人間が制御できないことといえば…」と言って教えてくれたのが、能舞台の後ろにある白い塀は、おととしの大雨の時に崩れてしまったとのこと!「能舞台が壊れなくてよかったです」ってまさに!

さてこの能舞台。「鴻の間」から見ると、鏡板の松もきれいに見える!「鴻の間」に座って観てちょうど良い塩梅になるように設計されているらしい。すごい。。。
座ったまま「鴻の間」を眺めると、その荘厳な雰囲気にため息しかない。
正面向かって右手には松と鶴。それはよく見る図なのでそこまで感動はしなかったけれども、右手の梅(多分。説明はなかった)はその枝ぶりがすごく優美で惚れ惚れした。入口に向かって伸びていく曲線が本当に美しく、卒論で散々見てる狩野山雪のいびつな梅と違う…と感じ入ってしまった。その枝の先には小さな鳥が飛んでいるのも、滑らかな曲線から、最後は動きのある鳥という組み合わせが絶妙。
感激している内に、一行は次の間に行ってしまったので慌てて追いかける。

次にあったのは角部屋となる「雀の間」。
「鴻の間」がかなり大広間だったので余計に小さく感じた。
そのこじんまりとした部屋に雀が散り散りに飛んでいるのが、余計にかわいらしさを演出していると思う。
雀があちこちと飛んで動きを出しているのと対照的に、竹が直線の動きを出している。
竹に雀という割とシンプルなモチーフで飾る襖とは対照的に、天井の格子には華やかな花卉図が描かれている。各格子の中に円形の花モチーフが描かれていて、めちゃくちゃ艶やか。
襖がシンプルだからこその華やかさだなーと思いながら見上げる。
因みに…この「雀の間」には、抜け雀の伝説があるらしい。ここもか…って感じだけれど、こんな思い思いに飛んでいる雀の絵を見てたら、そういう伝説あってもいいかなってなっちゃうか~

「雀の間」を曲がると、「雁の間」と「菊の間」が並んでいる。

まず「雁の間」。
むかって右側が朝の雁、正面が昼、左が夜の雁を表しているとのこと。
左の欄間は透かし彫りで雁が彫られており、透けたところから隣の「菊の間」の月が見える。つまり、雁が月をバックに飛んでいるように見えるのだ。
本を読んで知っていたものの、実際に見ると「おおおお~~~~」と感動。朝の襖と同じくらいに位置したらよく見える感じだったので、実際に部屋に入った時にちゃんと見えるのかなぁと疑問だった。

そして…説明では抜かされたけれども、天井の格子には鉄線!!!私のお目当て!!!
格子に絡まるように描かれた鉄線!!!想像よりもちゃんと絡まってる!!!写真で見たのは4格子分のみだったので、天井全体で見れて感動~~~~~~
鉄線の有機的な動きが、あまりうるさくないレベルで描かれていて、しつこくもなく絶妙なところで優美に絡まっていたー--
はー感動!!!
それにしても、なんで雁と鉄線の組み合わせなんだろう…と疑問が出る。
そもそもあまりに違いすぎて、雁が欄間で上に向かって飛んでいるはずなのに、天井には鉄線が絡まって、それを阻止している感じになっている。「雀の間」もそうだけど、襖をあまりに無視した天井が気になる。。。
部屋の中に座った時にどんな感じになるんだろう…
襖では三方を同じ絵柄に統一して、1つの世界を作っているのに、天井にはまるっきり違う装飾を施す…どういう感覚なのか考察したくなる。

と、鉄線に興奮している間に「菊の間」の話があらかた終わってしまって、次に進んでしまった。。。
ということで菊の間はちゃんと見れていないんだけれども。
「雁の間」よりも広い部屋の割に、描かれた菊の密度は高くないので、余計に横に広い印象を与える。
天井にはおびただしい数の扇子が描かれているけれども、襖絵の方が結構あっさりしているので、天井はうるさくないし、逆に襖絵もあまり寂しい感じはしない。

ざっと「菊の間」を見ている内に次の「白書院」の話がほぼ終わっており…
「白書院」は、三の間が特に豪華!!!なんせ孔雀が飛ぶ、松の木やら桜が植わる。
その奥になると、花鳥図ではなく帝鑑図となって、ちょっと面白味が減る(個人的に)。
やはり凡人な私としては、花鳥図が好きだなーなんて思いつつも、造りが豪華なのでちょっと見たい思いもしつつも、どんどん前に進んでしまうので着いていくしかない。と言ってもそんな惜しくなかったけど。

そして次に見たのが、北能舞台。今は使われていないとのこと。
能舞台の周りに敷き詰められている石が特別な石らしく、水に濡れると黒くなるらしい。昔、能というと夜、薪能にすることが多かったことから、この石にしたのではないかとのこと。

その先の(確か…記憶があやふやになってきた)廊下の天井には、たくさんの巻物や書物が描かれている。丁度、廊下の真ん中くらいの巻物の中に猫が描かれていて、”にらみ猫”と言うらしい。というのが、どこから見ても猫に見られているようだから、ということで、”にらみ龍”の猫バージョン?巻物・書物をネズミから守ってるらしい。猫っていうよりもテンみたいな顔だな…と思ってたら、「実は…」と語ってくれたのが、廊下の壁が一部紙が貼られていて、それがつい最近、イタチが壁の間に入ってしまい、脱出するために壁を破ってしまったとのこと!猫、守りきれてない!
因みに、壁には一面、藤の花が描かれていて、結構薄くなってしまっていたけれども見事さが感じ取れた。

最後に見たのが「虎渓の庭」。
結構広い庭のうえに、石(というか岩!?)が立派だし、石の上に生い茂るソテツも立派で、めちゃくちゃ見ごたえがあった。
すっごい迫力というか。なかなか強烈な庭。
向こうには御影堂の屋根が見えて、その屋根も山に見立てているとのこと。正直、立派なはずの屋根がかすむくらい、庭はド迫力だった。

これで書院はぐるっと回ったことになり、いったん外に出て、次は飛雲閣へ。

飛雲閣は写真撮って良いということで、ぱしゃぱしゃっとな。

今は正面から石の橋を割ったって中に入るようになっているけれども、元々橋はなかったらしい。
代わりに、飛雲閣の左の方に船着き場があって、船に乗ってそこから入ってたらしい!すごいな。
因みに一番左にある色のついた建物はお茶室とのこと。

飛雲閣の二階部分には歌人が描かれている。遠すぎてなんだかよく見えなかったけれども。

そして渡り廊下で繋がっている右側の建物はお風呂!!!なんて立派なお風呂!!!

池がちょっと汚いのは、ここもずっと修復していて、その際に水を抜いていたのだけれども、水を戻してみたら、こんな感じになってしまったらしい。
本来は池にも飛雲閣が写ってきれいだったんだろうなー…と想像する。

こちらは中に入れず、これにて終了。

いや~~~~1時間弱。ずっと見ごたえがあって濃密な時間だったけれども、なんだかあっという間だった。
願わくは、仏様のご加護をもって末永く、この素晴らしい文化遺産が残っていきますように…

最後におまけ…
近くのカフェ、Good Time Coffeeが素敵だった~~~

京町家をリノベしたカフェで、中庭まで可愛い…

鴨葱サンドとカフェラテをいただきましたー。ま、価格はなかなか大阪では見られない価格だったけれども、めっさ美味しかった~~~なんかキノコの触感がいい味出してて、キノコの可能性を感じた(なんだそりゃ)。

コメント

タイトルとURLをコピーしました