「中原淳一展」@手塚治虫記念館

行った日:2022/02/05
★★★☆☆

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全体的な感想

地元なので時々通る手塚治虫記念館。といっても小学生以来入ったことがない。
が、「中原淳一展」のポスターが貼りだされていたのを見て、行くしかない!となったので行ってきた。

中原淳一展は、手塚治虫記念館の一角で行われているので、手塚治虫記念館の他の展示も見れる。
ということで久しぶりに手塚治虫についての展示も見て回ったのだが、やはり大人になって見ると感じるものも違って、非常ー--に楽しめた。
というか、つくづく手塚治虫は働きすぎだよ…と思った。。。これは生き急いだとしか言いようがないくらいの仕事量な気が。。。漫画描き、アニメ作り、アニメの赤字補填するためにグッズを作り、絵本も作り、合間に頼まれて絵を描き…

と、手塚治虫を堪能してからの中原淳一。ちょっと頭が追い付かない。。。

そう思いつつ、その区画に入ればすっかり中原淳一ワールド。

いやー…やっぱり素敵だな…

何が素敵って、中原淳一にとっての「美しい女性」をずっと追求し続け、それを雑誌を通して、色んな角度からの「美しい女性」を紹介し続けたことかと。

美しい挿絵だけではなく、洋服やバッグを工夫して作ることを提案したり、部屋のアレンジを提案したりと、大きく言えば生き方にも通じるところを具体的に提案しているのがすごい。特に戦後ということで、今みたいに物にあふれていなかった時代、西洋への憧れも抱きつつ、襖や障子をモダンに仕上げる工夫だとか、既にあるものをどうアレンジするのかとか、自分の工夫で生活を豊かにするというコンセプトが、物にあふれる今だからこそ見習わうべきところかなと思った。

以下は中原淳一のイラストに特化した感想を;

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作品の感想

<残念ながら画集はなかったので、別冊太陽から出ている「それいゆ」と「ひまわり」より、画像を拝借しています>
因みに…パンフレットも作品一覧もなかった(たぶん)のがとても残念。

今回、はじめて中原淳一の原画を見て、そのためじっくりと見ることができたのだけれども、ハイライトを効果的に使われていることに気付いた。

鼻のてっぺんだけではなく、唇の上部分や、鼻下の照り返しがある部分など、非常に細かくハイライトが入っている。そのためにイラストといえどもすごく立体的に見える。

すごく素敵な人が描かれているんだけれども、非現実的でな理想像ではなく、「美しい女性」のロールモデルになりそうな、そんな雰囲気を感じるのは、この具体性のためなのかもしれない。

こちらのイラスト、着物だけれどもこの斬新的な髪型が素敵で心に残った。このように、洋服至上主義というわけではなく、着物のすばらしさも説きつつ、ただ伝統的な服として紹介するのではなく、その時代にあったモダンな髪型・着方を紹介しているのが素敵。

あと、意識的に行っていたのか分からないけれども、髪の描き方が2パターンあって、それぞれ違った雰囲気を出しているのも興味深かった。

1つ目は、この作品のように、水彩絵の具で髪の毛の線を描き、しかもぼんやりとした線で表現する方法。こちらは日本髪のように、豊かな黒髪という雰囲気が出ている。

2つ目は、ペンで線を描いたところを、絵具でも着色するという方法。線はよりくっきりするので、つやつやっとした感じがする。1つ目の方が大人びたしっとりした雰囲気を感じるとしたら、2つ目は心なしか若さを感じる気がする。

こちらのはパリ滞在時に、パリから送って雑誌に掲載してもらっていたもの。気軽に海外へ行けない時代、中原淳一からの絵を読者は心待ちにしていたらしいが、大きく頷ける。
今見ても、パリのきらきらした、特別な感じが伝わってくる。パリへの憧れが具象化されたというのか。
個人的に、パリはそんな好きな都市ではないんだけれども(すみません!)、これ見たら問答無用にあこがれる。

あと、この2つによく表れている通り、割と全作品を通して直線的な絵だな、というのが今回発見したことだった。

今まではくりっとした眼や厚ぼったい唇に、曲線を感じていたのだけれども、今回じっくり見る事で、むしろ定規で線をひいたのかと思うくらいのきっちりとした直線で画面が構成されているのが多いことに気付いた。

こちらの作品は背景に直線が多様されているわけだけれども、なんなら腕や足も直線的だし、洋服もやリボンも直線的。

だから目がきらきらしていても、花に囲まれていても、決して甘すぎることはなく、女の子たちから凛としたたたずまいを感じるのかなと思った。

この作品みたいに背景が真っ黒な作品があともう一つくらいあって、それも素敵だった。確か「のすたるじあ」というタイトルで、着物を着た女の子のまわりに可愛い小物が散らばっているの。残念ながら本には載ってなかった…

こちらももちろんとても可愛い。

背景が黒いから、よけいに輪郭がよく分かり、その輪郭がかわいさを表現している。
足が基本的に直線的ななか、わずかに曲線的なのがとても可愛いんだと思う。

上とは反転した感じだけれども、シルエット絵もよかった。この「シンデレラ」の絵、展覧会であった原画は白黒だった。

シルエットの中でドレスの模様が描き込まれているのが素敵。特に左下のシンデレラが靴を落とすシーンの、ドレスから出るレースなんて可愛い。


他に、画像がなかったけれども、「青い鳥」のイラストがすごく素敵だった!

チルチル・ミチルは貧しい兄妹ということで、洋服はつぎはぎだったりすんだけれども、めちゃくちゃおしゃれ!!!特にチルチルなんて、大きなマフラーを巻いちゃって、今でも通じるおしゃれな男の子だった。

作品の忠実な再現性というより、美しい中原淳一ワールド炸裂でとても印象的だった。


初めての中原淳一の展覧会、じっくり堪能した!

当時の皆が熱狂したのが、ものすごー---くよく分かった。
作品も素敵だったけれども、それだけではなく、中原淳一が勧める、自分の手で工夫することによって豊かな生活を送る、という考え方、見習って実行したいと思った。

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参考文献

今回、画像を拝借したのはこちら↓
どちらも、掲載されていた絵だけではなく、雑誌の内容も盛だくさんで読み応えがあるのでかなりおすすめ。因みに、全カラーでなかなかの重量。

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