「モディリアーニー愛と創作に捧げた35年ー」@大阪中之島美術館

行った日:2022/5/28
★★★☆☆
本日のBest:アメデオ・モディリアーニ《若い少女の肖像》

全体的な感想

友人と久しぶりに会うのに、その友人が大阪中之島美術館にまだ行ってないと言うので今開催中の「モディリアーニ展」へ。

正直、モディリアーニのことをそこまで好きという訳ではないし、そういえばモディリアーニに集中して観たこともないので、なかなか良い機会だったなぁと思う。
何せ、モディリアーニが短命だったことも初めて知ったくらいなので、モディリアーニとその妻にあたる人(正式には結婚に至らずだけど)の悲劇的な死も知らなかったので、めちゃくちゃびっくりした。

モディリアーニを初めてじっくり観たという点では、すごく有意義な展覧会ではあったけれど、何よりもものすっっっっごく疲れた!

前回の展覧会もものすごく疲れたけれど、あれは展示数が尋常じゃなかったから。でも今回はワンフロアしかなかったし(前回は2フロアだった)、作品の系統・種類も統一されてるから、頭の切り替えが必要ってわけでもない。
じゃあ何でこんなに疲れたのかというと。

キャプションが長い!
しかも記憶の限り、全作品にあったと思う。

各作品が濃密な情報量のキャプションをつけてて、それをじっくり読んで、作品を観て、ってなると、まぁーーーー疲れる!!!

いや、読まなくていいだろ、と言われそうでもあるけど、内容は面白いし、キャプションを読んで、なんでこの作品が展示されたのか分かるところともある。
だから一生懸命書いてくれてありがたい気持ちもあるけど、もう少し情報をしぼってくれててもよかったんじゃないかなーとも思う。

と文句から始めてしまったので、面白かったなと思ったところも、もちろんありましたよ。

まず特筆すべきは「モディリアーニ展」と銘打ってるけれども、モディリアーニの作品だけがずらっと並んでる訳ではないこと。

なんだろう、他の画家についての展覧会でだって、その画家の周辺作家とか、その時代を反映する作品が展示されることも大いにあるけれども、今回はこの時代の説明とか、周辺作家の説明がこれでもかってくらい濃厚にされていた。

まずプロローグでモディリアーニが活躍した時代が、ポスターなどの作品と文字情報でしっかり説明される。
あと結構珍しいなと思ったのが、画家の年表も最初に提示される(通常は、最後に提示されることが多い気がする)。
まるで「モディリアーニのことをよく鑑賞するためにはしっかりと基礎知識を身に着けてくださいね」と言われてるかのごとし綿密さ。

第1章でモディリアーニの初期の作品や、最初は彫刻家を目指してたとかが紹介され(彫刻作品は写真だけ)、いよいよモディリアーニの作品が見れるのか!?と思いきや…!

第2章はエコール・ド・パリの世界になる。
「あれ?これってモディリアーニ展だったよね…?」と思ってしまうレベルに、エコール・ド・パリ!

個人的には色んな作品観れてすごく楽しかった!
しかもここで効いてくるのが膨大なキャプション。
ともすれば「モディリアーニ展…?」となるところを、このキャプションがその画家とモディリアーニの関係性などが教えてくれるので、迷子になることはない。

しかも時には、モディリアーニが描いたその画家の似顔絵が隣に飾られているので、モディリアーニを通して親近感がわくという不思議な体験ができる。

エコール・ド・パリを十分堪能した後に、日本との関わりなどのインターバルを経て、ようやくモディリアーニの部屋に入ることになる。
それまでバックグラウンドをしっかりと学んでから観るので、モディリアーニの作品にその時代の空気感を感じられる気がした。
”モディリアーニの作品”というよりも、エコール・ド・パリという時代の中で、様々な画家たちと交流しながら制作された作品なんだな…とより強く感じさせるというか。

初めて行ったモディリアーニの展覧会にしては、表面をなでるというよりも、もう少し深く観ることができたと思う。

印象的だった作品

図録を買わなかったので、チラシの絵、所蔵美術館からOR所蔵美術館HPへのリンクなどを貼っておきます。
ちなみに2作品、写真OKの作品がありました。

アメデオ・モディリアーニ《青いブラウスの婦人像》

最初期の作品。非常に暗い。
この時から首が長く、細長いシルエットなんだなとびっくり。

パブロ・ピカソ《道化役者と子供》

青の時代の作品。この時代の色使いがものすごく好き。

モーリス・ド・ブラマンク《雪の風景》

風景画というより抽象画に近い。
白と黒の世界のなかに、薄くきれいなピンクが入っている。
勢いがありながらもバランスの良さがよく分かる。

ジュール・パスキン《アンドレ・サルモンとモンマルトル》

なかなか大きな作品だけれども、圧倒的というよりも洒落た感がある。
絵と文字の組み合わせが面白い。似たような色調でまとめられているからか、絵と文字であってもあまり違和感がない。

(チラシより抜粋)

キスリング《ルネ・キスリング夫人の肖像》

本日のBestにしようか一瞬迷ったけれども、さすがにモディリアーニ展行ってキスリングをBestにするのはないかなと思って取りやめた。

雰囲気のある眼差しが素敵なだけれではなく、色使いも好きだった。
写真では分かりずらいけれども、ビリジアンのような発色の良いものも入っていて、メランコリックな雰囲気を都会的なものにしている気がする。
それもあいまって、少しデザインっぽく見えるはずが、手が割とリアルで、この絵を現実に引き戻しているよう。

ディエゴ・リベラ《スペイン風景(トレド)》

色がとても素敵。パズルのように色が配置されている。

Photo©Tate CC-BY-NC-ND 3.0 (Unported)

アメデオ・モディリアーニ《若い女性の肖像》

本日のBest。

非現実的に首が長いんだけれども、現実にいそうな子なのが不思議だった。表情が非常にリアルなのかもしれない。
暖色系でまとめられた色が濃厚で、ところどころに寒色や発色のいい暖色がアクセントのように着色されているのが画面を面白くしている。
重厚な雰囲気のなかで若い女性、という対比も面白かった。
あと単純に顔が好み。

アメデオ・モディリアーニ《おさげ髪の少女》

口をふと開いた、その一瞬の表情をとらえているようで秀逸。
もちろん可愛い。
全体を通して、モディリアーニは一瞬の表情をとらえるのが非常に上手だったんだなと思った。

アメデオ・モディリアーニ《若い農夫》

モディリアーニの、塗りつぶした目って、展覧会最後まで慣れなかったけれども、そのなかでこの作品は意外と好きだった。
塗りつぶした目はうつろに見えることが多いが、これは光を感じた。

Photo©Tate CC-BY-NC-ND 3.0 (Unported)

アメデオ・モディリアーニ《小さな農夫》

上と似たような題材の絵だけれども、こちらの方が目がちょっと怖い。
でも頬の色とかとても好き。

アメデオ・モディリアーニ《髪をほどいた横たわる裸婦》

写真OKの作品。
ポーズはティツィアーノの《ウルビーノのヴィーナス》からだろうか。
でもこっちの方がずっと気が強そう。
輪郭線が描かれ細長いのに、肉厚感もあるのがおもしろい。

(チラシより抜粋)

アメデオ・モディリアーニ《大きな帽子をかぶったジャンヌ・エビュテルヌ》

これも結構好きだった。

頬に添える手の片側(左側)だけに黒線をひいていて、そのため縦長が強調される。
上では帽子で水平線が出ていて、いわばT字の構図。
それがこの絵の安定感を出している。
だからこそ、ちょっとした顔の傾きや、帽子の曲線が優美に感じるのだと思う。

アメデオ・モディリアーニ《少女の肖像》

グレタ・カルボという女優さんが所蔵していた作品で、世界初公開とのこと。
ただ、割と小さい作品のうえ、遠くに照明を落として展示されていたので、なんだかよく見えなかった…
そのせいか仏像っぽいイメージを持ってしまった。

ちなみに、作品一覧の方には写真OKマークがついていなかったけれども、会場では写真OKとなっていたのでご心配なく。

チラシ・作品一覧

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