映画にしたら面白そうな話だった:木内一裕 「藁の楯」


本の交換会で「殺し屋シュウ」と交換してもらった「藁の楯」。
比較的軽いタッチだったので、ざっと一日で読めた。
スピードを求めるエンターテイメント本としては、この軽さと読みやすさは良かったのではないかと思う。

同様の事件を起こし出所したばかりだという清丸が、またもや女子小学生を強姦し殺した。
今回殺された小学生は大富豪の孫であったがために、その祖父が権力を充分に使って、清丸に懸賞をかけた。
その金額十億。

日本中が血眼になって清丸を捜すなか、自分の命大事さに福岡で自首をした清丸。
警視庁の警備課に勤める銘苅は、この凶悪犯人を無事に東京まで護送する命を言いつかる。
警備課よりもう一人と、捜査一課から二人。あと福岡県警の一人で移送班を組む。
看護婦が殺そうとしたところから始まり、機動隊も銃を向ける。
移送班にも敵がいるようだ。
そんな中命を張って清丸を守るのだが。
清丸は凶悪犯。果たして命を張ってまで守る必要があるのだろうか…?
という感じで話が進む。

テーマも面白いし流れも面白い。

のだが
難点が一つ… この凶悪犯が全然描かれていない。あまりに描写が少な過ぎて、時々移送班の人たちが怒り狂うためにちらりと出るといった塩梅。
まあ 処女作だからしょうがないといえばしょうがないのだろうけど。

作者の木内氏は漫画家だということだから、やはりこれが小説と漫画の違うところなのかも、と思ったり。漫画であれば、背景にでも登場人物を常に入れておけば忘れされることはない。でも小説は、うまいタイミングでコンスタンスに登場させないと、読者は忘れてしまう、ということではないのだろうか?


木内一裕 「藁の楯」 2007年 講談社

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