「だら!」と使いたくなってしまう:芝田勝茂 「ふるさとは、夏」


子供の頃読んだ本で忘れられない本がある。
「ふるさとは、夏」を読んだ時、本当にその田舎の空気を感じて、わくわくしたものだった。その後も、夏休み+田舎に行くという本は何冊か読んだし、神様と出会ってなんやかんやする、という話も読んで、それはそれで好きだったけれども、「ふるさとは、夏」はなんだか特別な本だった気がする。
そんなことをふと思い出したら、どうしても読みたくなって、本屋さんで買ってしまった「ふるさとは、夏」。

本当は昔みたいにハードカバーで買いたかったけれども、文庫版も挿絵がまったく同じだったので、ま、経済的にも文庫版にしてみた。
そのままマクドに行って一気読み。

懐かしいブンガブンガキャーやジンミョー、ハンザ、温泉に行っちゃう三人組の神様やらに出会えてうれしかった。
田舎で人間外の人とのふれあいと云えば「ユタと不思議な仲間たち」も好きなんだけれど、あの話では主人公ユタは座敷わらしとの交流しかほとんどないのに比べて、これは主人公・みち夫は人間(といったら変だけど)との交流がしっかりある。

というか、田舎の人たちに馴染めないみち夫を、なんとか神様たちが仲間に入れようと(といってもさりげなく)するのが暖かい感じがして、そこがこの本の好きなところだな、と思った。
神様と人間の入り混じりようが絶妙なのがいい。

あと魅力的なのが方言。
みち夫の方言に関するとまどいもよく表れるくらい、みち夫以外皆、方言を使っている。それがますます“ふるさと”感が出ていていい。
自分にはふるさとがないけれども、これを読むとそこがふるさとな感じがする。

最後に盆踊りで神様たちと踊っているシーンなんて読んでいると、夏休みが終わってしまう寂しさを思いだしてしまう。
というわけで買って本当に満足な本だった。


芝田勝茂 「ふるさとは、夏」 2004年 福音館書店

コメント

タイトルとURLをコピーしました