高田崇史ってすごい!:高田崇史「鬼神伝 鬼の巻」

“かつて子どもだったあなたと少年少女のためのミステリーランド”シリーズを読もうキャンペーン、第二弾 高田崇史作 「鬼神伝 鬼の巻」

これは、普段の高田崇史の代表作品、QEDシリーズに表れている、彼の歴史観の総体制のような作品でした。

つまり、

本に載っている歴史とは、本当に歴史なのか?
歴史って、勝者の書いたものである。
鬼って本当に悪者なのか?
などなどということが、子どものために書かれているような感じでした。

もし、私が小学生高学年くらいに読んでいたら、QEDシリーズを初めて読んだ時のような衝撃を受けていたに違いない、と思われる作品。

しかし、ちょっと思ったのが、小学生くらいだったら、逆にあんまり楽しめないのではないかな・・・ということ。だって、高田崇史作品の醍醐味は、歴史をある程度知っていて、だけどそれは違う角度で見るとこういうことなんだ!という驚きのような気がするからです。つまり、小学生高学年くらいだったら、そこまで歴史を知らないだろうし、知っていても、柔軟すぎて、そんな驚きもなく、「ふーん」で終わってしまうような気がするのです。

まあ でも、とっくの昔に柔軟な時代が終わった私としては、結構楽しめたけれども。

しくぁあああし。
はっきり言って、全然推理小説じゃなかったよ!!!!!!
どっちかっていうとファンタジーだったよ!!!!!

それから何気に、すっごいびっくりしたのが、高田崇史って、まだ薬剤師をしながら作品を書いているらしいということでした。

しかも、高田崇史作品って、すっごい歴史的考証が必要なわけで、いったいあなた、時間をどうやって作ってるのーーー!?って感じでした。

だってだって、著者紹介のところに

丁寧に患者さんに応対し、正しく調剤し、的確に一般薬を売るという日々を送るかたわら、母校の大学の空手部監督を七年間務め、地元の養護学校に学校薬剤師として十年間勤務し、休日には愛用のマーチンD-21をそぞろにかき鳴らし、夜はバーの止まり木で酔い潰れる

って書いてあるんだもん!!! すげーすげーすげー
最後には「これからも薬剤師でもありつづける由」だとさ。

あと、面白かったのが、巻末のあとがきにしかけがあったこと。
途中で、「すでにこの時点で、わたしの文章に不自然さを感じているだろうあなた、それはすばらしい。やがて、この文章に含まれている真意に気付かれることを祈る」だの、「こんなことで、ずいぶんしつこいと思うかも知れない。それには理由があるが、内緒」だのと書いてあるから、なんなんだーーー!?と思っていたのですが、最後に「長い暗号文を書き終えたわけであるが」と、わざわざ点までふって書いてあったので、必死に読み解こうと目を見開いたのでした。

そして読めたよ! うれしい!! いわく;

「こんなところに文章が隠されていることに気がついたあなたに、きっと世の中は冷たいでしょう。でもめげずにがんバって生きてください。日本のどこかで、おうえんしています。」

すげーすげーすげー

わたしの真意がすなおに届いただろうか?もしも届いていれば、これにまさるよろこびはない。すなおではないという言葉を、遠く聞き流しながら

とは、なんとなく高田崇史らしくって、そんでもって解けれてうれしくて、笑ってしまった。

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