表紙の絵と中身がちょっと合ってないんぢゃないか:長野まゆみ「よろづ春夏冬中」

中学生の時、一時期長野まゆみさんにはまったことがありました。特に「天体議会」や「野ばら」が好きだったのですが、足が遠のいていった理由には、やっぱり登場人物たちがあからさまにゲイになっていったからです。いやね、いわゆるBL系に抵抗があるわけではなかったのですが、私の考える長野まゆみの良さはそれじゃないよなあ、と思っていたわけです(偉そうだけど)。その長野まゆみの良さとは。やっぱりあの繊細そうな文章と、恋愛には絶対発達しない、でも親友よりもずっと親密な少年二人っていうのが良かったのにな~。それが、恋愛に発達してしまうと、どうもよろしくない…。

などと思いながら、長野まゆみから卒業したのですが、この間、図書館でひょいと見つけて、懐かしい気分になり借りてきてしまいました。恋愛系ではないのを探そうとして、ま、タイトル的にこれは大丈夫だろう、と選んだのが「よろづ春夏冬中(あきないちゅう)」でした。

が!!!男カップルがぞろぞろでしたよ~~~~

短編集になっていて、一番目の話が、幽霊っぽい話だったので、全部そんな感じかと思いきや、あらあらららら・・・・

しかも、今まで私が読んできた長野まゆみ作品からでは少し想像しがたいことに、年齢が高めだし。

ん~ 色々と残念でした。

それでも文章が独特なのは変わらず。例えば「唇を被(の)せられた」って、なかなか言わないよな~

あと

乾いた細かい雪がしきりに零る。制服の袖の上で、ほんの一瞬だけ結晶になった。しばらく繊細な造形の、あらわれては消える寸劇に見とれた。

p53

てのも、いいなあと思いました。
そんなわけで、初期の作風に戻ってほしくなりました。
(長野まゆみ 「よろづ春夏冬中」 文芸春秋 2004年)

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