結局リカってかわいそうじゃない?:五十嵐貴久「リカ」


なぜか大変寒いヨーロッパで読んでいるホラー。
夏にあった、納涼と題したホラー小説交換会で交換してもらったのを今更読んでおります。

まず「リカ」。
第2回ホラーサスペンス大賞受賞作ということですが。

話はいたって簡単。出会い系サイトで知り合ったリカという女性にストーカーされる話。
主人公は妻子ある身の中年男性。遊び感覚で出会い系サイトに足を踏み入れる。
大体はおしゃべりで終わるけれども、そろそろお遊びを止めよう、その前に出会うところまでやってみよう、ということで、無難そうな「リカ」という子を引っ掛けてみる。

最初はちょろいと思っていたけれども、電話の段階までいってみたら非常にしつこい。面倒臭くなった主人公は携帯を変えて、事実上リカを捨てたのだが…

というお話の流れ。
ここまで来てまっっったく主人公に同情ができなかったので、この後主人公の身の上に起こる様々なホラー的な展開も全然怖くなかった。

リカが異常なまでに執着してくるとか、恐ろしい容貌をしてるとか、主人公が雇ってる探偵が殺されたとか、主人公の命も狙われてるとか、そんな諸々のものが全然怖くない。
むしろ、リカが怖く書かれていればいるほど、だから何?自業自得でしょ、と冷めた目で見てしまった。

だってやっぱり不倫ものって嫌なのよ~~~
ということでリカがおどろおどろしく書かれていても、1ミクロンも怖く感じなかったのでした。
男性作家じゃなくて女性作家が書いた方が面白かったかもな、と一瞬思った題材でした。


五十嵐貴久 「リカ」 平成15年 幻冬舎

コメント

タイトルとURLをコピーしました