ハリウッド映画にしたら面白そうだな:恩田陸「上と外 5楔が抜ける時」

話が佳境に入ってきて一気読みですよ~
今までは千鶴子は最高に嫌だったが、ちょっと好きになった1冊だった。

前巻では練がなかなか現れない!というところで終わったが、もちろん練は戻ってくる。
点呼を取り、さて解散、となっているのに目を光らせるニコ。すかさず不正して石を隠し持っている二人を見破る。
実は練も隠し持っていたのでひやひやしていたのだが、なんとか切り抜けられる。
と思ったら、練の寝床にニコがやってきて、“お見通しだよ”メッセージを伝えてくる。
でもおとがめもなく1日目終了。

地下回廊にいる千華子は、絶望的になっていたのだが、枝道に入るたびに番号をふっていこう、という案をうちたてる。
すぐ忘れてしまうのだが、千華子って小学生なんだよな…。
なんて不憫な…

賢たちは、ヘリコプターを抑えることができたので、捜索を開始しようとする。
が、なんとシティの方が閉鎖されているものだから燃料がないという。ただでさえジャングルを探すというのは当てがないのに、燃料的に3回しか飛行できないというのだ。
さてここで千鶴子の名誉挽回のシーンが出てくるのだが;

 彼女が感じていた居心地の悪さは、子供たちに対する後ろめたさだけではなかった。…千鶴子はクーデターが起きてからというもの、賢とミゲルに全てを任せっきりでいる役立たずな自分に自己嫌悪を覚え、これまで仕事に関しては有能だと言われてきたプライドをひどく傷つけられていたのである。今までそれらもろもろのことを気付かないふりをしていたのだ。が、眠りに落ちる前に彼女はそのことを全て認め、受け入れ、そして強く心に誓った。
 負けるものか。これから取り戻してみせる。(p28-29)

この不屈の精神、しかも“認め、受け入れ”て立ち向かう、という姿勢は大事だと思った。
そしてこの千鶴子の提案で、色とりどりの風船にメッセージを書き、それを二人が落ちた辺り、何箇所かに投下し、次はそこをめがけて飛行する、という作戦に打って出ることにしたのだった。

さて、また練のシーンに戻り、どうやら王が不必要に凶暴化しているようなのだ。
ニコは噛まれ、他にも負傷者が出ているらしい。
「成人式」の遂行も危ぶまれるか…?という時に、練の働きによってジャガーは穴に落ちて死んでしまう。
そこで「成人式」は終了。

その後、練はニコより“千華子が消えてしまった”ということを聞く。
二人で千華子が居た小部屋に行ってみると、果たして隠し扉を見つける。
そこから地下回廊に出たところで地震が発生。
どうやらイザベラ山が噴火したようなのだ…

残り1冊!


恩田陸 「上と外 5楔が抜ける時」 平成13年 幻冬舎

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