東北が首都でした:柴田よしき「RED RAIN」

久しぶりに柴田よしきを読んでみようと思って借りた本。
相変わらず話に引き込まれるし、ざーっと読める簡単な本ではあったけれども、期待していた分なんだかちゃちな話に思えてしまった。

特に未来の日本像が、経済が破綻して世界でも大変低く位置してて…となると、現実でも日本はそんな明るくないのに、フィクションでこんなひどいって気が滅入るわ、となってしまった。よく考えたら、超ハッピーな未来像が出てくるSFって読んだことないわ。

それはさておき、話はというと、D物資というものに感染してしまうと吸血鬼のようになってしまう、という奇病が発生している世界。

それは地球にぶつかりそうになった惑星を、映画の『アルマゲドン』のような戦法でやっつけて一安心、と思っていたら、その破片から出てきたものであった。
そのD物質に感染してしまうと、超人的なパワーを発して人に襲いかかり血を吸う。
しかも潜伏期間も長ければ、感染してしまうと自身でもD物質を放出してしまうので始末に負えない。
全員が感染するわけでもないし、感染してしまったらそれを直す術も見つかっていない。
つまり、何もかも謎に包まれたままなのだ。
それで世界レベルで対策を打ち出し、舞台となる日本も特別警察官として、D感染者―Dタイプ―を取り締まる部隊が出てきた。

とりあえず感染者を保管して施設に収容、もし抵抗するのであればレーザーガンだかで射殺してしまう。

そんな特殊警察官のシキ(日本でもアメリカ式で名前を呼ぶようになり、和名を使う人がほぼいなくなったという設定)は、ある女性が自ら撃たれるように仕向けてきたような気がしてならなかった。
調べてみると彼女が最近産んだと思われる赤ちゃんがいない。
子供のDタイプはいないと言われているが、赤ちゃんがDタイプなのでは…?という疑念が生まれる。
現にその赤ちゃんを逃がしたと思われる人がいて、しかも複数でグルになって行っているようなのだ。

シキは新人のシュウをタッグを組んで、怪しいと思われるアパートに駆落ちカップルを装って潜伏する。
どうやらここに「逃がし屋」がいるようなのだ。
ついにアソウと呼ばれる逃がし屋に出会い、もうすぐで逃がし屋が誘う場所へ乗り込める!と思いきや、あっさり正体がばらされる。

そして政府が行っているDプロジェクトというのは、Dタイプを助けるどころか、ただ殺しているだけ、しかも政府はそれを知っていてやっている、ということを知る。

今まで自分を正当化させてDタイプを殺していたシキ。そんなシキをアソウは置いて行ってしまう。傍らには眠らせられているシュウ。
シュウが起きたのを感じてシキが自分の縄を切ってくれるように頼むと、シュウはシキに向って銃を構える。
びっくりして自分の手を見ると、Dタイプ特有の体から湯気のように出るゆらゆらしているものが出ている。
シュウが新人であったのが幸いしたのか、シキは殺されるのではなく、逆にシュウを殺し血をすする。
そこから逃亡。そしてDプロジェクト反対派に助けられ、そこでDタイプによって殺された者は生き返ると知ったシキは自分を犠牲にしてシュウの体を回収。

施設に入れられたシキは、自分の子供とテレビを通して面会するのだが、娘もDタイプということを知る。
離婚した夫にそれを伝えたシキ。
最終的には施設から逃げ出し、それとDプロジェクト反対派のクーデターと重なる。
Dタイプと政府の戦いがここで始まって、話は終わる。

壮大のようで、あっさりしてて、そんなんだからペラッとした印象を与える本だった。
シキがシュウに恋心を抱くのもなんだかありきたりだったし。
サクッと読めたのが救いだったかな。


柴田よしき 「RED RAIN」 1998年 角川春樹事務所

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