メアリと出会うところから始まり婚約するところで終わるとは、なかなか手が早いですな、ワトスン君:コナン=ドイル「四つの署名」

はまってしまったシャーロック・ホームズ。
シャーロキアンが出るだけあるな、この面白さ。今更だけど。

そして子供の本のはずなのに、内容がとっても子供用でない。
何しろホームズがコカインの注射を打つシーンが非常に克明に描かれているのだ。
というかこの「四つの署名」出だしがこのシーン!;

 シャーロック=ホームズはマントルピースのすみjからいつものびんをとると、モロッコ革のこぎれいなケースから注射器をとりだした。そして、白くて長い神経質そうな指で細い針をとりつけ、シャツの左のそでをまくりあげた。ちょっとのあいだ、ホームズの目は、ぷつぷつと無数に注射針のあとのあるすじばった前腕から手首のあたりに、じっと考えこむようにそそがれていた。やがてホームズはするどい針をずぶりとつきさし、小さなピストンをおしさげると、満足そうにほうっとため息をもらして、ビロード張りのひじかけいすにふかぶかと身をしずめた。(p7)

ただひらがなが多いだけで、中身はなかなかアダルティー…

さて、「四つの署名」。
ワトスン君の未来の奥さんとの出会い編となっている。
時期的にはワトスン君が、「緋色の研究」を上梓した後くらいのようだ。
「四つの署名」も「緋色の研究」のように途中で入っている物語が面白かった(ネタバレあり)。



依頼主は未来のワトスン夫人であるメアリ・モースタン。
不可解なことが起きているので謎を解いて欲しいというのが依頼。
ある時新聞に「メアリ・モースタンの住所を教えてください」という趣旨の広告が出ていた。
主人のセシル=フォレスター夫人の勧めで住所を新聞の広告に載せると、毎年きれいな真珠が送られてくるようになった。

ついに手紙が来て、是非会いましょう、という旨が書かれている。
友人を二人まで連れてきていい、と書いてあったので、ホームズとワトスンはミス・モースタンについて行くことにするのだった。

指定通りの場所から馬車に乗って着いた先には不思議な家。
そこの主人の名前はサディアス=ショルトー。
ミス・モースタンの父親の友達が、彼の父親だったというのだ。
実はミス・モースタンの父親も不可解な失踪を遂げていたのだった。
父親はインドの士官だったのだが、母親が亡くなってしまったのもあってかミス・モースタン自身はイギリスの寄宿舎に入れられていた。

その父親がロンドンに帰ってきたという電報があったので、指定のあったホテルに行くが父親の姿はない。
そのまま行方知らずになっていたのだった。

このショルトー曰く、ミス・モースタンの父親は亡くなったという。
ショルトーが語ったのはこんな話だった。
ショルトーの父親はモースタンと同じくインドで士官していた。
そのショルトーの父親も亡くなったのだが、その亡くなる前にショルトーとその兄バーソロミューに事の真相を話し出した。

なんでもインドでモースタンと一緒に宝を手に入れた。
でもショルトーが一人占めしてしまったので、モースタンはショルトーを訪ねていき分け前を主張してきた。
その口論の途中に心臓を患っていたモースタンは発作を起こして死んでしまったというのだ。
どう考えても殺人犯にしか見えない、という保身によってショルトーはモースタンの死体を隠したのだった。

という話をして、その一人占めした宝を、モースタンの娘に死後分けてあげて欲しい、と伝える。そして宝のありかを話そうとした時に、何かを見つけて驚きのあまり死んでしまったのだった。
とにかく、バーソロミューに会って宝をもらいに行こう、ということになって一向はショルトーの邸へと向かう。
ミス・モースタンへ分け前を与えることに反対だったバーソロミューは屋根裏に閉じこもったままだという。

様子を覗いて見ると、どうやら死んでいるらしい。
扉を無理矢理開けてみると果たして、バーソロミューは恐ろしい形相で死んでいた。
どう考えても、最後に話したというサディアスが不利になってしまうのだが、ホームズはもちろん違う推理をしていく。
どうやら屋根から子供のような姿の者が侵入し、バーソロミューを殺してしまったようなのだ。
その子供のような人がうっかり付けてしまった足跡と、ミス・モースタンが持っていた、父親の紙入れの中に入っていたという地図と4人の署名が書かれた紙切れを手掛かりに謎を解いていく。

どうやら晩年のショルトーは、一通の手紙を受け取ってから、白人の義足の人を大変恐れていたというから、それも手掛かりとなる。

そして4人の署名のうち、一人だけが白人。
多分4人は囚人で、彼らから宝のありかを知ったショルトーは猫ばばしてしまう。そしてその白人が脱走したという話を聞いて縮みあがったのだろう、というのがホームズの推理。

そして屋根裏に残っていた足跡から割り出したのが、どうやら犯人は船を使って逃亡してしまったようだということ。
そしてその小さな足はアンダマン島人のもののようだ。義足の足跡もあるので、例の白人が雇ったかなんかしたのかもしれない。
またもやロンドンの浮浪児の力も借りて、その義足の犯人を捕まえることができる。
そしてその人の話が始まるのだった。

インドでの暴動が起こった際にアグラで守っていたスモールは、その時にもぐりこんでいた反乱軍に相談を持ちかけられる。なんでもインドの王様が宝を隠しにくるので、その宝の守り人を殺して自分達のものにしてしまわないか?と言われるのだ。
もちろん話にのったスモールだったが、一度は宝をゲットして平和な時が来るまでと隠すまでしたのに、暴動が終わった後に人殺しの罪で4人とも無期懲役となる。
一人違う島に流されたスモールは、そこで模範的な囚人となり、イギリス兵と近しくなるのに成功する。

ある時、ショルトー少佐とモースタン大尉に宝の話をし、他の3人と共に脱獄を手伝ってくれたら宝を分ける、と持ちかける。

ところが想像できる通り、ショルトー少佐は宝を一人占めしてとんずらかいてしまったのだ。
こうしてスモールは執念で脱走し、ショルターの元へとやってきたというわけだった。


コナン=ドイル 「四つの署名」 中上守・訳 1983年 偕成社

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