マイクロフトをマクロソフトと読み間違えてしまう・・・:コナン=ドイル 「シャーロック=ホームズ最後の挨拶(上)」


着々と読み進めているシャーロック・ホームズ。
個人的に、秘密結社とか秘密組織が出てくる話が面白いと思っているのだが、本書にはそれが2作あってなかなか面白かった。
斬新な(私にとって)トリックがあるという訳ではないシャーロック・ホームズシリーズ。やはり時代背景がよく現れる話が面白いと思う。
収録作品は以下の通り(ネタばれあり!);

「ウィステリア荘」

大変不思議な体験をした、という依頼人が現れる。
あるパーティーで知り合ったスペイン系の男と仲良くなり、サリー州にある彼の家ウィステリア荘に呼ばれる。
ところがもてなされるかと思いきや、召し使いは失礼だし、ホストもある手紙を受け取ってから心あらずで全然面白くない。
明日帰ってやる!と思って就寝していると、夜中の1時くらいに主人に扉の外から話しかけられる。
ところがそれが主人と言葉を交わした最後となり、次の朝起きてみると家はもぬけの殻。

なんとも奇妙な体験をしたとホームズの元へ来るのだが、そんな依頼人を追って警察がやってくる。
なんとウィステリア荘の主人は、その晩殺されていたというのだ。
主人が受け取ったという手紙より、関係ありそうなお屋敷を探しだすのだが、その主人がきな臭い。

真相はというと、その屋敷の主人は外国で活躍していたとんでもない悪党だった。そいつの被害者となった人たちが結託して殺そうと計画していたのだが、ウィステリア荘の主もその一味だった。
ホームズの依頼人を家に呼んだのも、そいつを殺そうとして、自分のアリバイを立証してくれる人を探してのことだった。
ところが、計画はうまくいかず、却って自分が殺されてしまった、ということだったのだ。

「ボール箱」

ホームズに珍しく、ちょっと猟奇的な事件。

ある老婦人のもとへ塩につかった耳二つが入った段ボール箱が届く。
その夫人は独身で、上品な人でそんな事件と関わりがありそうもない。
ところがこの夫人には妹が二人いて、一人は結婚してリバプールに住んでいる。
もう一人の妹は、しばらくこの夫人と一緒に住んでいたが引っ越して違う所に住んでいる。
結局この荷物は、一緒に住んでいた妹宛に来たもので差出人は、リバプールに住む妹の旦那だった。

犯人曰く、この人がリバプールに遊びに来たのがきっかけで、夫婦の仲がすっかりこじれてしまったという。
なんでも妹の旦那に横恋慕しようとしたこの姉は、自分の想いが遂げられないと知るや、妹に旦那の悪いことを吹き込むようになる。
疫病神はリバプールより去ったものの、夫婦に間はぎくしゃくしてしまい、ついに妻は浮気をする。
その現場を突き止めた旦那は二人を殺しその耳を切って、元凶となった姉の元へ送ったというわけだった。

「赤い輪党」
なんとも奇妙な下宿人が泊まっている、と気味悪がってやってきた依頼人。
気味悪いだけでなく害があるようで、依頼人の旦那は変な男に連れ去られそうになったという。
下宿人は最初に顔を合わせてから一度も見かけていない。
ずっと部屋に閉じこもったままで、欲しいものも紙に書いてトレイに置くのみ。
ホームズ達がそっと見張っていると、男だと思っていた下宿人は女だった!
しかも何か合図を受け始め、その合図が送られている元へ向かうと男が殺されている。
そこへ姿を現した下宿人。

この男を殺した人、そして最初に下宿に現れた人こそが、この女の旦那。
そしてこの殺された男につけ回され、非常に恐ろしい目にあっていた。
二人はアメリカに渡ったイタリア人なのだが、そこで夫が一時期だけ身を置いていたテロ集団の“赤い輪党”の人間に出会ってしまう。
ずっと逃げたかった二人は、ついにアメリカの恩人を殺せという命令に従いきれず、イギリスに逃げ来たのだった。

「ブルース・パーティントン設計図」

ホームズの兄・マイクロフトから依頼された国家機密に関する事件。
なんでもトップシークレットの設計図が盗まれてしまったというのだ。
正直、あまり印象に残っていない事件。


コナン=ドイル 「シャーロック=ホームズ最後の挨拶(上)」 大村美根子/常盤新平/青木日出夫・訳 1984年 偕成社

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