長身の山内より大きい斎藤ってどれくらい大きいんだろう・・・:柴田よしき「フォー・ユア・プレジャー」

シリーズ一作目を読んで、本当に本当に心の底から二作目が読みたかった、花咲探偵シリーズ。なんで本屋に売ってないんだ~~~!

ということで、時間がずいぶんあいてやっと手に入った「フォー・ユア・プレジャー」。相変わらずハナちゃんが東奔西走します。

まず例によって城嶋に仕事を紹介された花島。依頼は自称OLからで、一夜限りの相手を探してほしいとのこと。ところが調査していくうちに、どうやら麻薬の売人だということが分かってきたが、それでも調査を進めてほしいと言われる。問いつめると、彼に未練があったわけではなく、上司に勧められた見合の相手に望まないまま指輪を指につっこまれ、その指輪がどうやらそいつの手に渡ったらしいとのこと。

そして幼稚園は相変わらず赤字で、そのうえ花島の生命保険が担保で冷血やくざ山内に借りているしまつ。そんな幼稚園に乳幼児をかかえた父親が登場。どうやら妻に逃げられたらしい。

そうこうしているうちに、恋人の理沙がトラブルに巻き込まれ、誰かに拉致されてしまう。そこに理沙の父親違いの妹が登場し、どうやらドラッグの乱交パーティーの時にまいた種で変な男につきまとわれ、それを理沙に相談したらしい。それをつてに理沙を探すと、やくざの幹部の愛人の家にたどりつき、家に入ればそのやくざと愛人が銃殺されていた・・・

それのせいで山内に追われることとなり、警察学校時代の同期の命とひきかえに真犯人をつかまえるべき東奔西走を始めるのでした。

第一作目の時と同じく、それぞれ独立しているような三つの事柄が(指輪を探す・乳児を連れてきただめ男・銃殺事件)最後にはきちんとまとまるの面白かったです。

そしてやっぱ山内かっこいい!!顔が相当いいという設定なのはもちろん、自分の恋人(花咲の警察学校時代の同期)が死にそうだというのにケタケタ笑っているという、なんかいかれた感じもいい。

死体発覚後、山内に捕獲されて脅されているところのシーンで;

「命乞いしてるにしちゃ、でかい態度だ」
 山内は、ヤンキーがコンビニの前に座りこむような恰好で座ったまま、煙草を床でもみ消した。コンクリの打ちっぱなしの、愛想のない床だ。
「だが、一理あるってことは認めてやる。しかしなぁ、何とも困ったことに、あんたであろうとなかろうと、俺は早急に死体をひとつ用意して稲葉にくれてやらないとならない立場だってことには変わりがないんだな。さて、どうしたもんか」
「ほ、方法は他にある」
 やめろ、やめとけ、と心の声が言った。余計なことは言うな。言えば自分で自分を窮地に追い込むことになるぞ、これまでの経験からそれは確実だ!
「松崎を殺した犯人を探し出して、警察に突き出せばいい」
 ああ。
 俺はおのれの馬鹿さ加減を呪った。俺がそう言った途端に、山内の顔に浮かんだ摩訶不思議な笑み。山内は初めからそのつもりだったのだ。…(中略)…
「すごいぞ、園長」
 山内は長い腕を伸ばして俺の肩を叩いた。いかにも親しげに。
…(中略)…
 もし俺がここで一暴れして、生きてにこにこ園に戻れる可能性というのはいったい、どのくらいあるのだろう?だが、そんな大それた計算は、山内の長い睫毛に縁取られた切れ長の瞳と視線が合った瞬間にどこかに消えてしまった。本当に、こんなに綺麗な目をした人間がこれほど凶暴に見えるというのは、ある種の地球の驚異だな…(中略)…
「引き受けてくれますね?」
 山内の山内の声が異様に優しくなった。

p294-295

山内への愛がゆえに長い引用となってしまった・・・

なぜか、この肩を叩くシーンで山内の顔が松田翔太の顔にすげかわってしまった・・・何故だ!?別に松田翔太のファンでは全然ないし、それまでの山内は全然そんなイメージじゃなかったのに!それが自分の中で一番謎でした。

(柴田よしき「フォー・ユア・プレジャー」 2000年 講談社)

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