果たしてニールはMAを終わらせられるのか!?:Don Winslow “A LONG WALK UP THE WATER SLIDE”

高校生の時にはまってシリーズで、しばらく続編が出ないと思ったら2冊出てまさかのシリーズ完結といえば、ニール・ケアリーシリーズ。ずっとその2冊を読もうと思いつつ、ずるずると今に至ったのは、単純になかなか本屋さんに売っていなかったから(翻訳本はあると思うけど)。

そうしたらインターネットで洋書の古本屋のサイトを見つけ、2冊がそこにあった時の感動といったら!即購入いたしましたとも。なんとも便利な世の中になったものだ!

まずは”A Long Walk Up the Water Slide”。

前作の続きで、ニールは相変わらずカレンと一緒に荒野に住んでいます。
例によってそこで平安に暮らしているニールのもとへ、グレアムがやってくるところから厄介ごとが始まるのです。

当初、今回の仕事は大したものではなく、世間で賑わせているポーリーの英語教育でした。このポーリー、メディア王のジャックと不倫の関係で、それを止めようとジャックに言ったところ強姦された、と訴えたのでした。そもそもジャックというのは、もともとはレストランの経営をしていたのですが、事業を拡大した際にテレビのチャンネルを取得し、奥さんとで出演する番組も人気番組になり、とまあすっかり有名人になった人だったのでした。

そんな人が強姦と訴えられ、しかもテーマパークを建設中であったというのに、ジャックにとっては大きな打撃となる一大スキャンダルになってしまったのです。

それをうまいこと利用しようとしたのが、ジャックのビジネス上のライバルであり、ニールの雇い主である銀行の上客でした。ところがこのポリーというのがあまり賢くなさそう。ということで、世間に認めてもらえるような女性にしたてあげる、というのがニールの仕事だったのでした。

でもそんなすんなり話が進まないのがニール・ケアリーシリーズ。

いつしか単純なはずが複雑な仕事となってしまうのです。というのは、ジャック達が建てようとしていたテーマパークの建設には、マフィアが絡んでおり、ポリーを殺そうと暗殺者がやってくるのです。
それだけではなく、ジャックの奥さんキャンディがやってきたり、別件でポリーを追いかけて人がやってきたり・・・としっちゃかめっちゃかな感じになっていくのでした。

通勤中に読んでいて、話がぶつ切りになってしまっていたのもあるかもしれませんが、前作までに比べるとあまり楽しめませんでした。なんとなくカレンも気に食わないし(嫉妬というわけではなく!ニールを困らせてばかりいるし)。

そして、このシリーズの特徴であった洒脱さがあまりなかった気がします。なんとなくニールにフォーカスされたシーンが少なかった気もしたのですが、そのせいかもしれません。

それでも、初っ端からのニールのやる気のなさが、お決まりな感じでニヤリとさせられました;
(ニールが朝起きてくるシーンにて)

Neal stood behind the bedroom door for a second, then walked through the small living room and stood in the kitchen doorway(……).
“Hello, son,” Joe Graham said.
It isn’t the voice, thought Neal. It’s the smile, the sweet cheerful, mocking smile of a rat on a landfill.
“Hello, Dad,” Neal answered(……).
He pulled out a chair and sat down on the table.
That’s where he made his big mistake. He should have gone back to bed, pulled the covers over his head, and refused to come out until Joe Graham was thirty thousand feet in the air, winging back to New York. If Neal Carey had done that, he never would have met Polly Paget, or gone to the Candyland, or had to take a long walk up the water slide.
But he didn’t.
He smelled the coffee.
Then he drank it.

p2

何はともあれ、次で最後。この巻の最後でニールは解雇されるのですが、それがますます終焉に近付いている感を漂わせていました。

とりあえず、最終巻は通勤中に読まずにゆったりと読みたいと思います。

(Don Winslow, ‘A LONG WALK UP THE WATER SLIDE’, 1994, St.Martin’s Paperbacks)

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