みれば見るほどクドカンって味のある顔してると思う:宮藤官九郎「妄想中学ただいま放課後」

三浦しをん女史推薦本リストより(確か)、クドカンの「妄想中学校ただいま放課後」を読んで、つくづく対談本は苦手じゃ~と思った。それを知っているはずなのに、読む本リストに入れておいたということは、本の紹介がよっぽど上手かったのだろう。

そして読了後に「なぜに私はこれを借りる気になったのだろう」と思ったというのは、対談本が苦手なだけではなく、ここに出てくる人達にまったく興味がなかったり、話の内容についていけなかったりしたからだろう。

なにせ私はテレビをあまりみない。そしてクドカンはそういう系の仕事の人。となると対談するのはそういう関係の人だったり、内容がそのような内容だったりする訳である。

その中で面白かったのは羽生名人。将棋の世界をまったく知らなかったので(ついでにルールも大して知らない)、対戦中に相手のthinking time中に抜けてもいいなんてびっくりだった。
「ヒカルの碁」からの知識によると、碁の世界では年齢制限があったのだが、将棋の世界でもあるらしく、25歳までに4段(一人前のプロ)にならないとプロになれないらしい。

宮藤 芝居も年齢制限あれば良いのにな。ある程度の年齢で、ある程度のところまで行かなきゃ辞めなきゃいけないって。
羽生 自分で線はひけないですからね。
宮藤 ねえ。「絶対いつか良いことがある」って思って続けていってダメになっていってる人ってどんな世界にも間違いなくいるじゃないですか。
羽生 ええ。
宮藤 だから、うん。それは親切なんだと思う。そうやって諦めさせてくれるって。先のことを考えたら絶対そっちのほうが良いですもんね。

P147

「ヒカルの碁」を読んで年齢制限を知った時には「可哀そう…」としか思わなかったが、このコメントを読んでなるほど、と思った。やはりそんな人が沢山いる業界にいるクドカンだからこその感想だなぁ。「絶対いつか良いことがある」と思って続けている人が読んだら腹がたつかもしれないけれども。

とりあえず、クドカンなんてあまり大した興味も持っていなくて、紹介でもされなかったらこの本だって絶対読まなかっただろうが、読んだおかげで将棋の世界が垣間見れて良かったっちゃぁ良かった。でもまぁ、対談本、特にテレビだとか芸能関係の人のはもうしばらくはいいや。

(宮藤官九郎 「妄想中学ただいま放課後」 2003年 太田出版)

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