「プレイバックPART2」を聞きながら書いたら、文が粗雑に…:柴田よしき「ア・ソング・フォー・ユー」

花咲シリーズは既刊のものはすべて読んだーみたいなことを前に日記で書いていたが、図書館に行ってびっくり。
柴田よしき作で「ア・ソング・フォー・ユー」というタイトル。なんとなく花咲シリーズっぽいじゃないですか。手に取ってみるとはたして、登場人物に「花咲慎一郎」の名が…。
なぜ知らなかったんだ!? というかお気に入りのシリーズなら、既刊本くらい把握しておけ!って感じ。

収められてる作品は以下の通り;

ブルーライト・ヨコハマ>>ハリウッドスターの妻となった日本人女性の依頼で、彼女が20歳を超えたばかりという時に、当時住んでいた横浜にて2回きり出会った、その時男子生徒だった人を探す話。

アカシアの雨>>ハナちゃんが経営する幼稚園と隣のビルの隙間にまだヘソの緒が取れていない赤ちゃんが捨てられていたところから始まる。てっきりその話かと思いきや、そうではなく韮崎の紹介より韮崎の姪っ子の依頼で、彼女が飼っていたオカメインコを探す話。

プレイバックPART3>>娼婦の娘っぽい女の子の目線から話が始まり、すぐにその前の章でハナちゃんが探していた赤ちゃんを捨てたのではないか、という子だと分かる(読者には)。その子がハナちゃんの連れにぶつかったところで目線はハナちゃんに戻り、交互となる。ハナちゃんはそのぶつかった連れ(靴磨きのカンちゃん)がひどい怪我をしたこともあって、その子を探す話。

骨まで愛して>>前の話をちょっとひきずりながら、恋人のリサからの依頼で、ずっと行方不明だった祖父のお骨を盗んでしまった男の子から、お骨を取り返す話。

一番良かった話は「ブルーライト・ヨコハマ」だった。
小学生の頃に呪いごっこをはやらせ、しかも偶然にもそれが当たってしまったりしたものだから、大人たちに問題視された子供がいじけて成長してしまったのかと思いきや、精神的に本当に立派になっていたというのは心からほっとした。

依頼主の恵美子は、苦楽を共にした夫が浮気し、離婚してくれと言われたのもあって、遠い昔、高校生だったその子に“自分は呪いがかけられる。誰かにかけたくなった自分に言うように”ということを言われたのをふと思い出し、その子を探すことにしたのだが……

 そして、柏原圭介の口調を真似て(恵美子は)言った。
「私立探偵から、あなたを助けてあげろって言われました。でも、あの時の藁人形はもう、役に立たなくなっちゃったんです。もっと早く呼び出してくれれば良かったのに、寿命だったみたいです。それで今は、こんなの使っています。これ、幸せ倍返しの呪い人形です。この人形に頼んで誰かに呪いをかけると、呪いをかけられた人が幸せになるたびに、その倍だけ自分が幸せになるんですよ。相手が宝くじで一億円当たれば、自分は二億円、当たります。そういうのってものすごく悔しいでしょう?呪われた人にしてみたら、自分を呪ってるようなやつを幸せになんてしたくないのに、自分が幸せになればなるほど、もっとそいつが幸せになる。これって、なかなか強力な呪いですよ。前のよりずっと効果的だと思いませんか。そう言いました」

p105-106

そんな温かい話とはうってかわって、「アカシアの雨」の悲惨だった。

性同一障害の少年が学校も行かせてもらえず、育ての親の娼婦に連れられて街から街へと渡り歩いていたと思えば、その少年のアパートに住む風俗嬢は、親の借金の返済のため風俗に身を売り妊娠してしまい、挙句のはてには餓死寸前となってしまったり。

最後に「社長(山内)の片思いの彼がいるわ! 園長、写真撮って!」という環がはしゃぐオマケがなければ、ちょっと重たい一冊だった。

余談だが、このシリーズを読み進めれば読み進めるほど、柴田よしきは女性作家と思い知らされる。なんで最初に男と思ったのか…

(柴田よしき 「ア・ソング・フォー・ユー」 2007年 実業之日本社)

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