三田図書館の盗神伝はまるで新品:M・W・ターナー 「盗神伝IV 新しき王 前編-孤立-」

あまりの読みにくい文体のせいで読むのを放棄してしまった「盗神伝」シリーズ。

しかしこのシリーズの存在を教えた相手である長年の読書仲間が完読したと聞いて、闘争心というか負けん気の強さがムクムクと目覚めてしまって図書館へ直行と相成った。

ま、シリーズ最後の物語で、残るは2冊と分かったからなんだけどね。
あんまり期待せず、正に義務感で読み始めた

が!!!

まったく本から手を離すことができず、一気に読みきってしまったよ!!!

前作でアトリアの女王と結婚したエウジェニデス。つまりはアトリアの王になったということなのだが、そうも簡単にアトリアの国民、というか女王周辺の人達に受

入れられない。そもそもエウジェニデスの性格的に、素直に好かれるように振る舞うはずがない。
そんな訳で、アトリアの城の人達とエウジェニデスの攻防が話の中心となっている。
そしてこの巻では城内の陰謀をほのめかしつつ次巻へと続くのだ。

今回の主人公は、思わずエウジェニデスを殴ってしまった近衛兵のコスティスだ。
縛り首になるところを、エウジェニデスの恩赦で逃れられ、代わりにエウジェニデスの従者となる。
最初は他の皆と同じくエウジェニデスのことを嫌っていたのだが、エウジェニデスが暗殺されそうになった時に、「自分は地獄の底までついて行くだろう」と確信したのだった。

ちょっと共感したシーンを。
アトリアの女王が失神して、エウジェニデスが女王の名を呼んだ時のシーン。ちなみにコスティスが女王を抱き止めました;

コスティスは腕のなかにいる女王をみて思った。この方にも名前があるのだ。イレーネという名が。今まで「アトリアの女王」以外によび名があるとおもわなかった。しかし当然、女王であると同時にひとりの女王なのだ。腕のなかにいると、おどろくほど人間らしく、女らしくみえる。

p287

この間、高校の時の先生に会うことがあって、今まで「先生」としか見てなかったのに、もう彼の生徒でなかったせいか、突然「あ、先生も私と同じ一人の先生なんだ」と、よく考えたら変な感慨を覚えた。それを思い出させたワンシーンでした。

いやぁ~ それにしても、嬉しい方向に期待を裏切られ、すぐさま次の巻に進みたいが、また一気読みしたら明日に支障が出るので、ぐっと我慢のコ!今日はおとなしく寝ます。

(M・W・ターナー 「盗神伝IV 新しき王 前編-孤立-」 金原瑞人、宮坂宏美・訳 2006年 あかね書房)

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