今月末に次巻が出るらしい:荻原規子 「RDG レッドデータガール はじめてのお使い」

荻原規子の最新刊として本書、「RDE はじめてのお使い」が本屋に積まれていた時、ケチな私でも手を伸ばしかけた。何せ、大好きな荻原規子だし、表紙はこれまた大好きな酒井駒子だったからだ。

でもAmazonで今一な書評を読んで、とりあえず図書館で、となってはや10ヶ月。
図書館ってなかなか入れないのね。

それはさておき、今一な書評はというと、当たらずも遠からず。

多分、これで完結ではないし、むしろ序章っぽいのが微妙な書評となっていた原因の一つでしょう。
主人公も荻原規子作品の女の子には珍しく、引っ込み思案でうじうじしている。
そんな主人公の泉水子は山伏の修験所として名高い玉倉神社に宮司の祖父と住んでいる。

といっても両親がいない訳ではなく、父は優秀なプログラマーとしてシリコンバレーへ、母は警視庁公安課に勤め日本中を飛び回っている。
そんな優秀な両親の娘であるのに、成績も運動もとんとダメな泉水子。その上対人恐怖症気味で、家である玉倉神社は恐ろしく山奥な為、通う中学校で浮いた存在。
そんな彼女が、他の女の子のようになりたい、と“はじめの第一歩”的に前髪を切ってから事態が変わってくる。

奇妙な現象が起こったのだ。
そして期を同じくして、父の友達である相楽雪政がやってくる。
初めて相楽雪政が山伏であったことを聞く泉水子。
更に驚くことに、彼の息子深行が現れ、雪政曰く泉水子の「下僕」らしいのだ!

この深行が顔良し、頭良し、運動神経良し、でも主人公にのみ意地が悪いってのが、少女漫画ちっくでぷって感じだった。しかも転校生で、自分ちから通ってるってのもお約束でしょ
話は結局、泉水子は姫神が憑依する器で、最終的にそんな自分を受け止める、といった感じになった。
う~ん 言ったら悪いが、結構平凡な感じだなぁ。これが荻原規子作品じゃなかったら途中で止めてたぞ。

しかも泉水子が最後に舞を踊るシーンなんて、彼女の既刊本「風神秘抄」を彷彿とさせたし・・・
でもこれは序章にしか過ぎない(はずだ)し、行く先を期待しとこ・・・って期待していいんだよね・・・?

だが、その影も、山頂の風がたちまちに吹き払ってしまい、深行がまばたきした後には、ぬぐい去ったように痕跡一つ残らなかった。

p301

という本書最後の描写は、わりと好きだったのでやっぱり期待しようと思う。

(荻原規子 「RDG レッドデータガール はじめてのお使い」 2008年 角川書店)

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