猫の名前がQEDシリーズの奈々の猫と同じ:小路幸也 「東京バンドワゴン」

読書友達に勧められた本より「東京バンドワゴン」by小路幸也。

この珍妙なタイトルはそのまま、本書の舞台となる古本屋の店の名前で、物語はこの古本屋の家族の騒動を春夏秋冬通して語ったもの。

正に文字通り“語った”もので、というのは物語の進行役は、古本屋の店主の亡くなった妻・堀田サチなのだが、彼女が読者に語っている形をとっている。つまり、幽霊が堀田家を案内してくれるわけだ。
設定だけで面白いのだが、家族も大家族で、しかも個性豊か。

まずは店主の勘一は頑固親父。
その息子は我南人は60才でありながら現役ロッカーで、金髪でふらふらしている。実は最初、ムッシュかまやつの姿を想像してたのだが、途中で背が高く颯爽としているような描写があったので、慌ててかっこいいロック・じいちゃんの姿に変えた。

その妻は他界しており、二人の間にまず長女の藍子がいる。アーティストとであり、どこかフワフワしているところがあるが、シングルマザー。その娘の花陽の父を明かさない(秋の話で明らかになるが)。

その藍子の下に長男の紺がいて、その妻・亜美との間に研人がいる。
そして歳が離れて、しかも愛人との息子・青がいる。青は遊び人で恋人候補がしょっちゅう押し掛けてきていたが、最後には落ち着く。

「明日だよね?青ちゃん帰ってくるの」
「そうね。あ、お祖父ちゃん、それソースです」
「青となんか約束したのか?」
「ソースぅ?おいおい、もう焼海苔にかけちまったぜソース」
「青ちゃん、ハワイで海外版のカード買ってきてくれるって」
「まずそー」
「入れ物、昨日割っちゃたので取り換えたんですよ」
「花陽ちゃん、お味噌汁のネギ残しちゃ駄目よ」
「カードって何のカードだ」
「マジックペンどこにあるよ」
「茶箪笥の真ん中の引き出しにありますよ」
「MTGのカードだよ」
「研人ぉ、MTGってなにぃ?」
「お祖父ちゃん!マジックで<ソース>って書かないでください!」
「買いとかねぇとわかんねぇじゃねぇかよ。誰だよ!ソースと醤油の入れ物を同じやつにしたのはよぉ」
「私です」

p14-15

とまぁワイワイガヤガヤと賑やかに話が進むのだが、笑いあり、時々しんみりあり、とヒューマンドラマ仕立てとなっている。

本書で十分面白かったが、この後もシリーズであるみたいなので、この大人数の登場人物に慣れたところでもっと面白くなるだろうと、大いに期待である。

(小路幸也 「東京バンドワゴン」 2006年 集英社)

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