久し振りに手をとった綾辻行人で「最後の記憶」。
推理小説ではないのは残念だったが、久し振りだったので結構期待して読み始めた。
が!!!
あまり面白くなかったよ・・・
正直、結構眠かったし・・・
本格ホラー小説というが、あんま怖くなかった。
主人公はある理由で大学院を休学し、塾の講師をしている森吾。
血のつながらない兄と、血のつながった妹がいる。
父親は亡くなり、母親はというと若年性痴ほう症にかかってしまった。すぐさま大学病院に入院することになったのだが、そこで先生に奇病・白髪痴呆かもしれないと言われる。
それのせいか、徘徊などはなくても、驚く速さで記憶を失ってしまい、子供たちの認識もままならない上、幼児のような言葉を並べることしかできない。
その上、幼少に体験した強烈な出来事は逆によく覚えているようで、非常に何かに恐れる。
その恐れるキーワードとして、バッタの羽音、雷のような閃光、血が上げれるのだが、森吾もその恐怖にシンクロしているのか、非常に何かに脅えている。そして森吾の前に“あいつ”が現れる。
とまあ、私としては精神を病んだ人が、びくびく怯えているだけの話にしか全く見えず、「そんなビクビクぐずぐずしてないで、さっさと母親の出生の謎に迫っていけよ!!!」と思わず鼻息が荒くなってしまうくらい。
吸いかけの煙草を灰皿に置き、僕は両手を耳に押しつける。女性のひそひそ声とは別に、今ここにあるはずもない音が
p175
――バッタが。
どこかから聞こえてきそうな気がして、おどおどと店内を見まわす。
――バッタの飛ぶ音が。
レジのそばに立ったウェイトレスが、訝しげな顔でこちらを窺っている。僕は何とか平静を取り繕い、それでも両手は耳に押し付けたまま、窓の外へと目を逃がす。
といった、恐怖の対象みたいな文を挿入するようなやり方は、囁きシリーズでもやっていたような気がして、“またか・・・”という気がしないでもない。
それに「怖くしよう、怖くしよう」という意図が見えていて興ざめでもあった。
しかもオチが、異世界で異時間の母親と会う、というのも、なんかありがちで“う~~ん”な感じ。
なんだか辛辣な感想になってしまったけれども、私が本格ミステリにはまったきっかけの綾辻行人だからこそ、期待値が大きく、「十角館の殺人」などの作品くらいのクォリティの作品をまた出してほしい、と切望しているから。
(綾辻行人 「最後の記憶」 平成14年 角川書店)
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