今までで一二を争う適当ブックレビューです:柴田よしき 「宙都 第三之書 風神飛来」


やはりというかなんというか、次に読み終えたのも“宙都シリーズ”の続き。
実は第四之書も突入しているので、話がごっちゃになってしまっているが、ま、どちらも大した話ではない(なんて失礼な!でもそれがいいのよ)。

美枝が青の民である可能性がますます強くなり、加藤に連れ去られていた真知はその過程で青い鱗だらけの暮間に出会う。加藤は暮間も連れて、危機管理委員会の研究所みたいなところに連れてこられる。
どうやら危機管理委員会は、京都の件があってからできたわけではなく、それ以前より青の民撲滅の為にできたものだったらしい。

香流は、何かと因縁があった巨大な蛾だか蝶と意志の疎通らしきものができるようになって、その背中に乗って飛びまわっている。

三善たち天狗は、神官が依りしろとしているクマのぬいぐるみを持つ少女のコンサートに紛れ込むが、そこでまんまと罠にひっかかってしまう。

と三善、香流と書いて思い出したが、ちょっと面白いなと思ったくだりを抜粋;

「特に必要とは思わないけど、他人の心を読む力なんて。人間がそれを捨てたのは正解だったんじゃないかな」
「どうして?」
「もし心を読む力をそのまま持ち続けていたら、芸術は生まれていなかったと思うんです。心を直接伝えることができないから、人は、文字や音楽や絵画によって、他人に自分の力を伝える努力をするようになった。違います?」
「なるほど」
「だから、山の獣には芸術が必要ないし、天狗さんたちだって自分の楽しみ以外の目的で、文字や音楽、絵画を極めようと葛藤したりしないでしょう?人間は心を伝えられない、感動を他人に分け与えられないもどかしさに苦しんで、それをつきつめていく。…(中略)…他者の心を簡単に読み取ってしまうような能力を持って生まれていたら、どんなに知能が発達しても芸術はその知能から生まれて来ない、そんな気がするんです」(p149-150)

引用したら満足してしまったが、概ねそんなこんなで5巻へと続く。


柴田よしき 「宙都 第三之書 風神飛来」 2002年 徳間書店

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