故マイケル・ジャクソンも絶賛していたそうな:オグ・マンディーノ 「この世で一番の奇跡」


先日(といっても2カ月ほど前)、人生初の「読書会」なるものに行ってきて、その時に会主のみならずあと2人ほどが勧めていたオグ・マンディーノ。
実は、というか読書遍歴から見てお分かりの通り、まったく自己啓発本を読まない私。
あんまり読む気がなかったけれども、ま すごい人が勧めるし、というか「読書会」に行った記念でも読んでみようかな、と思って早2ヶ月。

図書館の延滞がものすごいことになってあわてて読んだのが「この世で一番の奇跡」。
んー まずこの本は、“あわてて”読むべき本ではないな。
あと、人生数回目の自己啓発本を読んで気付いたけれども、自己啓発本っていうのは、本人が「読みたい」という意志のもと読まないと、まったく意味を為さないということが分かった。
つまり申し訳ないが、私には心に響きませんでした、はい。

正直、それまでの哲学者や作家など様々なひとの名言を寄せ集めただけって気がしてならなかった。
と書いておきながら断っておくが、本書が駄作だというわけではないので悪しからず。
悩みを抱えている人や、自分の人生に疑問を感じている人が読めば、心が軽くなるような、道しるべになるようなことが書いてある(んだろうなぁと思う)。
ただ、私のようなお気楽な、くらげのごとく毎日のんきに暮らしている者からしたら、豚に真珠状態なのだ。

あらすじは、というと、これといった話があるわけではなく、かといって「○○しなさい」などという指南書でもなく、一応物語仕立てになっている。そこは好感が持てた。
主人公はずばり、オグ・マンディーノ本人。

彼が一冊目の「世界一のセールスマン」を上梓し、それが売れまくって成功している頃、ある雪の日に一人の老人に会う。
その老人の名前は、サイモン・ポッター。
不思議な魅力のある人で、自分を“ラグ・ピッカー”(ゴミ溜めから廃品を拾う人)だというが、ラグ・ピッカーはラグ・ピッカーでも、廃品となった“人”を拾う人だったのだ。
つまり、メンタル上で“死んで”しまった人を見つけて、もう一度甦らせるのが彼の仕事なのだった。
オグ・マンディーノは彼と対話していく中で、彼のその思想を出版してはどうかと思い始める。
実はサイモンも同じことを考えていて、廃人(といったらいいのか?)にあげている「神の覚え書き」をオグ・マンディーのに譲って、世に広めてほしいと願う。

しばらくのラグ・ピッカー養成セッションの後、オグ・マンディーノは出版の話を承諾するのだが、その後サイモン・ポッターからの手紙を受け取って胸騒ぎをする。
慌ててサイモン・ポッターの家に行くがそこに彼の姿はなく、アパートの住人もそんな人は知らないという。
捜しあぐねた後、サイモンからの手紙を開けると、そこには「神の覚え書き」が入っていたのだった。
というのが下地となっているお話で、重要な部分はオグ・マンディーノとサイモン・ポッターの対話部分と、「神の覚え書き」でしょう(ま 言うまでもないですな)。
「神の覚え書き」というくだりから推測できるように、基本的にキリスト教色が強く出ているけれども、キリスト教が時に持つ押しの強さはあまりないのでご安心を。
散々、心に響かなかっただのなんだの言っていたけれども、その中で今の自分に一番響いたのが「神の覚え書き」からこの部分;

 自分の枠を超えなさい!
 たった一つの確かな成功な手段は、どんな仕事をしていようと、自分に期待されている以上の奉仕をすることなのです。…(中略)…
 自分が受け取っているお金以上の仕事をするのは騙されている証拠だと思ってはいけません。なぜなら人生には振り子があって、あなたのかく汗は今日、報われなくても、明日、十倍になって戻ってくるからです。…(中略)…
 不快な主人に仕えていても、気にしてはなりません。彼にもっと奉仕しなさい。
 そして、あなたに借りがあるのは、彼ではなく、わたしということにしてください。そうすれば、刻一刻と余分な奉仕への報酬が支払われているのが感じられるでしょう。(p184-185)

のらりくらり暮らしている私としては「いたたた…」というところと、後半は神の存在ってこういうふうにも捉えられるのか、と納得した部分。
何か人生につまづきや疑問を感じた時に、これを読んだらヒントがあるかも、と思える本が分かってよかったな、と思った一冊。


オグ・マンディーノ 「この世で一番の奇跡」 菅靖彦・訳 1999年 PHP研究所

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