またもや一気読みの「妖怪アパートの幽雅な日常③」。
でもちょっと、3巻になってちょっと強めのメッセージ性とやつに、飽きが出てきた気がする。
何が「特別」で、何が「普通」なのか。
(p8)
ここにいると、その価値観が無限に多様なんだとわかる。
とか
本当に尊敬できる大人は少ない。・・・(中略)…
(p37)
龍さんや古本屋や詩人や画家は、家庭を持ち、子どもを育てる部類の大人ではないかもしれないが、子どもたちの周りに絶対必要な「大人」だと思う。
とか、メッセージ性を高めることで、登場人物のすごさ、そのシチュエーションの素晴らしさを伝えているのかもしれないけれども、それが過剰のような気がする。
夕士がそういうコメントを残すたびに、「あ~はいはい」と思ってしまう。
それは素直じゃない私だけかもしれないけど・・・・・・。でも私の中での理想的な本(小説)の読み方というのは、本があからさまにメッセージを提示せずに、読者がそれを読んでいる中で感じる、というものなので、こうも全面的に出されるとなぁ~というのが正直な感想なのだ。
はてさて今回の内容はというと、夕士の通う高校の英語教師のお話。
夕士は、1巻だかで交通事故で助けてあげた関係で、田宮と仲良くなる。
それどころか田宮の友達とお弁当を囲むことになってしまって、いつも女の子に囲まれる毎日となる。
それに悪意としかいえない物言いで、なにかとつっかかってくる英語教師。
なんでも彼は、前の学校でうまくいかず、こちらに転校してきたみたいだが、覇気がないような教師。
そんな折に、演劇部の部室に“出る”という噂を、田宮たちが昼時にする。
なんでも誰かに見られているような気がしたり、変な声がするらしい。
夕士が様子を見に通うと、壁に女性への呪詛としか思えない紙をわんさか、夕士をつけてやってきた田宮と見つける。
二人きりで驚いている時に、折り合い悪く、英語教師がやってくる。
そして突然怒り狂った彼に、何かがとりついてしまう・・・・・・。
といった話。
相変わらず、長谷が出てきたり、アパートの住民は絶好調だったり、るり子さんのご飯はおいしそうだったりする。
でもここらで、もういいかなと思った。
また気が向いたときにでも借りてこよーっと
香月日輪 「妖怪アパートの幽雅な日常③」 2004年 講談社
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