まずはタイトルで目にとめた「図書館戦争」。一体どういう話なのかと手にとってぱらぱら見たら、本当に図書館の“戦争”の話。
う~ん なんとなく気分が乗らなくて読まなかったのだが、それから何度も見る“有川浩”の名前。
読書会に行けば熱烈に薦める人が居るし、mixiの読書好きコミュの書き込みを見ると、やっぱり有川浩の名前があがる。
そうなると気になって、まずは「図書館戦争」の漫画をとってみたけれども、やっぱり話は好みじゃない。
でもでも食わず嫌いはどうよ、と思って本書を取ってみたら……
あ~これは所謂「ラノベ」っていうジャンルの一つなのかね。
別にラノベを否定するつもりは毛頭ないが、個人的見解からいって、ラノベは非常~~~に読みにくいのだ。
もう本当に文字通り“読みにくい”。独特な文法によって成り立っている文章が読みにくくてしょうがない。
そして話もね・・・。そんなラノベを読んだことがない私が抱く印象は以下の通り;
・反権力的
→権力を持つもの=悪者という図式がくっきりと提示されている。
まぁ別にそれでもいいけど、あまりに権力者(悪者)が歪んで描かれすぎていて、
私は正義(主人公側)のほうがひねくれてるんじゃないかと見えてしまう
・単純馬鹿が勝つ
→周りの人たちのほうが、どう考えても魅力的なのに、なぜか単純馬鹿というか、取り得は“明るさのみ”
みたいな奴が、皆に好かれるか、皆に影響を与える。
そりゃあ、明るくて一生懸命な子を見て、周りが成長するってのはありかもしれないけれど、
そういうキャラって今一知性を感じなくて好きになれなく、
そんな好きじゃないキャラに振り回される周りはどうよ!?という個人的嗜好により反感を覚える
・美人だけど口の悪い女が出てくる
→そんな設定に飽きた
別にラノベを他の本と区別してる訳じゃないけど、ラノベって上記のようなものが多い気がして、そしてそういう類の小説は苦手だというわけだ。
今回の「図書館戦争」はまさにそんな類のお話でどうにもこうにも・・・。2日で読む終えたけど、面白いからというよりとりあえず早く終わらせたいという気持ちが大きかったかも。
話の中盤で小学生の男の子で、難しい言葉を使い正論をふりかざす子が出てくる。それを聞いて主人公たちが、しきりに“痒い”と言っているシーンを読んで、「あなた達だって十分痒いよ~~」と心の中で突っ込んでしまった。
それはさておき“図書館戦争”とはメディア良化法が施行なり、それに対抗するように図書館の自由法ができ、その結果勃発したメディア良化委員会と図書館協会の戦いを指す。
つまりだ。
メディア良化法により、本や雑誌や漫画が検閲されることとなり、非常に厳しい規制ができてしまった。
それに対し、図書館の自由法は以下の通り
一、図書館は資料収集の自由を有する。
二、図書館は資料提供の自由を有する。
三、図書館は利用者の秘密を守る。
四、図書館はすべての不当な検閲に反対する。(扉ページより抜粋)
そんなこんなでメディア良化委員会は図書館を目の敵にしており、戦争をぶっかけるようになった。
図書館の管轄化、つまり民間を巻き込まなければ、死者やけが人が出ても罪を問われない、という事態がさらに戦いを白熱させ、図書館も従来の司書的な職務以外に、防衛部という部署ができ、そこに所属する者は自衛隊のような職務をまっとうすることになる。
主人公の笠原郁は、女なのに防衛部を志願していた。
それは高校生時代、メディア良化委員会の不当な検閲により、自分が楽しみにしていた本を没収されそうになった折に、さっそうと表れた図書隊員に憧れのことだった。
ところが蓋を開けてみたら、訓練後に配属されたのは特殊部隊。
破天荒な隊長の玄田、何かと郁をいじめる鬼指導係の堂上、堂上の同期で笑上戸の小牧、それから郁にとってたった一人の同期・手塚、それから同室の内勤の柴崎(ちなみにこの人が美人で口が悪い)と繰り広げる、特殊部隊ライフといったところか、この話は。
あまりこれといった物語の流れがあるわけではなく、どちらかというとこの世界観の紹介といった風合いが強い。
図書館“戦争”よろしく、戦いのシーンもとても多いが、割と恋愛色も強いと思う。
まず郁に関しては、高校時代に会った図書隊員を「王子様」と呼んで慕っているし、堂上もこれから郁のことが好きになるんだろうな。ちなみに手塚は今回、興味本位で郁に告白するが(もちろん実らず)、これから先本気恋になる気がする。
ちなみに、郁の憧れの君である図書隊員は、なんのひねりもなくあの人なのだが(最後のほうで明かされる)、そこもちょっと気に入らなかったりする。あっさりすぎやしないか!
と文句はたらたらだが、気になるっちゃあ気になるので、シリーズを読みきろうとは思っている。
有川浩 「図書館戦争」 2006年 角川書店
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