里瀬シリーズ、また読み返したくなった:恩田陸 「朝日のようにさわやかに」


随分久しぶりの恩田陸は短編集だった。
妹が入院した際に買ったらしく、貸してくれた。
時々いまいちな物もあったけど概ね面白かった。
思うに、恩田陸は始めは面白いのに、エンディングがその面白さに見合わないというのが多いから、短編は面白いはずでは?でもあとがきによると、短編は苦手らしい。そうなると、いつも終わらせ方を考えあぐねている内に長くなっちゃう口なんじゃないか?だから、エンディングが残念な感じになるんじゃないか?と邪推してしまう。
それはさておき、収録されている作品は次の通り;

「水晶の夜、翡翠の朝」

里瀬シリーズにて、里瀬の相方となるヨハンの話。里瀬が学園を出て行ってからの話となっている。

「ご案内」

ショートショート。「自由の国」への勧誘。

「あなたと夜と音楽と」

ラジオのDJの会話だけで構成されている話。ミステリー仕立て。

「冷凍みかん」

霜が世界地図となっている冷凍みかんと、地球との関係。

「赤い毬」

生まれる前に亡くなった祖母と、小さい頃会ったことがあるという話。

「深夜の食欲」

ルームサービスをワゴンに乗せて部屋に向かうボーイ。ホラー

「いいわけ」

分かりそうで分からない話だった。あとがきには「モデルはいわずもがな」と書いてあったから、有名な人なんだろうけど、とんと分からず、それがかえって気持ちが悪い。

「一千一秒殺人事件」

犯人は地球。

「おはなしのつづき」

病気の子どもに、脱線しつつ『白雪姫』を物語る父親。

「邂逅について」

詩みたいのと情景描写が交差する文章。

「淋しいお城」

話が一番しっかり成り立ってて面白いと思ったら、「ミステリーランド」の予告だったらしい。淋しい子どもが「みどりおとこ」にさらわれて淋しいお城に連れて行かれる話。

「楽園を追われて」

突然死んでしまった高校の同級生から原稿用紙に書かれた自作の小説をもらった、同じ文学部だった3人。

「卒業」

設定がよく分からないけれども、“12時まであと少し!それまで耐えるんだ!”的なスプラッタホラー。

「朝日のようにさわやかに」

「管」から色々連想していって、幼少の時の記憶の真相にたどり着く。

恩田陸 「朝日のようにさわやかに」 平成22年 新潮社

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