2冊にする必要はなかったんじゃないかという薄さだが、表紙買いしている身としては嬉しいことだ:神永学 「心霊探偵八雲 6 失意の果てに 上・下」


またもや発売されていそいそ買ってきた「心霊探偵八雲」。
表紙が云々といっていたけれども、これはシリーズを買い始めて、最後まで買わないと気が済まない状態になってきた。
そして買ったBook 1st.では八雲フェアだかなんだかをやってて、鈴木康士氏の絵ハガキが2枚ついてきた。やった
はてさて、いつも半ば斜め読みしている「八雲」ですが、今回は不覚にも涙で枕を濡らしてしまったよ~(寝ながら読んでたから枕ね)

前作をあんまり覚えていないのであれなんだけれど、前作で捕まった赤い目の男(八雲の父親)の手下である七瀬美雪が、監獄にいながら八雲の叔父、一心を殺すと宣言する。
後藤と石井は、一心を護衛することになるのだが、その最中、一心は何者かに刃物で刺されて瀕死の状態になり、その挙句脳死になってしまう。
どう考えても密室の状況下の出来事だった。
絶望する八雲は、魂ここにあらず、という状況になるのだが、上巻の最後で復活する。
(ここからネタばれ含むので注意!)



そして事件を解いていくわけだが、そこで非常に驚きな事実が判明。
なんと、あの赤い目の男は、とっくに死んでいたのだ!
晴香や他の人が見ていたのは霊であり、八雲の前になかなか姿を現さなかったのは、八雲が見ればばれてしまうから。
彼の目的は、八雲に乗り移るのことだった。

事件の真相としては、一心は刺された時には脳死の状態ではなく、応急措置をした医者が、自分の娘の病気には臓器移植が必要で、一心が丁度よかったというのがあって、脳死状態に陥らせたのだった。
一心はドナーカードを携帯していたのもあって、親族の八雲がサインをすれば脳死判定をくだされ、バラバラにされてしまう。
最後までふんぎりがつかなかったが、それが一心の望むところと知った八雲は、最終的にサインするのであった。
一心のお葬式の後で、八雲が一心の霊魂と話すシーンが泣けてしょうがなかった。

「幸せだったって……楽しそうに笑ってた」
 八雲が静かに言った。

(p233)

なんて、割と陳腐な、使い古された台詞なのに、妙に泣けた。
ここにきて、八雲の“霊魂と話せる”という特性が最大限に出ている気がした。
いや~ しかし、一心は好きなキャラだったから、(そして作者がこのキャラを好きだということも感じれたから)まさか死んじゃうとは最後の最後まで信じられなかったけれども、本当に一心“らしい”死にかただったな、と終わってから思った。


神永学 「心霊探偵八雲 6 失意の果てに 上・下」 平成22年 角川書店

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