古典だったのね:ヘンリー・ジェイムズ 「ねじの回転」


どなたか忘れたけれども、作家(確か)が「ねじの回転」を勧めていたので、読みたい本リストに付け加えていたし、恩田陸の「ねじの回転」もそれがベースになってるのかと思って(勝手に)『もとのやつを読むまでおあずけ』にしてた。
それなのに「ねじの回転」を読むことはなかなか実現されず、どの作家が勧めていたのかも定かにならないくらいほったらかしにしていたのだが、ついに、読む本が手元になく心もとなくなったある日、本屋を徘徊していたら「ねじの回転」という文字が!
文庫本で安いということも手伝い、やっと購入するのに至った。

イギリスの田舎にある屋敷。
そこの主人はロンドンで生活をしていて、孤児となった小さい甥っ子と姪っ子が住んでいる。
そこに家庭教師として女性がやってくる。
前任の家庭教師はなぜか辞めていて、その理由は明かされていない。
そうこうしているうちに幽霊が出てきて…

とどこまでもお約束な感じで進んでいくので、非常にワクワクしてきた。
「ジェーンエア」のようであり、それでいてリアルに幽霊が出てくる。
しかも、天使のように美しい子どもたちにとりついているときている。
これが面白くないわけないじゃん!!!と思っていたのだが……

うん 端的に言って全然面白くなかったね。
多分あまりに時代が古すぎるんだと思うが、肝心な描写はすべてカットされ、すべて読者の想像にまかせる、と言った態。
なんせ最後の方の緊迫するシーンでも

「誓って嘘いつわりは申しません、先生、お嬢さまは、いろいろの事を仰言いました―――!」

(p249)

というから、なになに、何を言ったんだい?と思うのに

そう言ったまま、彼女は後がつづかなくなり、ワッとわたしのソファの上に泣きくずれて、いつかのように、身も世もあらず泣き悲しんだ。

(p249)

となってしまい、一体なにが起きたのかさっぱり分からない。
挙句の果てには解説に「多くの註解者はこの物語に、同性愛の意図を発見しているが(p298)」とあって、ますます「ええええーーー!!!」ってなもんデス。
どどどこに…!?

本文自体が古い、訳が古い、などなどの要因からちょっと楽しめない一作だった。
むしろ原文で読んだ方がよかったかもしれない。
そして幽霊=ホラーを期待してたのもいけないかもしれない。
などなどと思いつつ、また時間が余った時にでも原文を読むかもしれない。


ヘンリー・ジェイムズ 「ねじの回転」 蕗沢忠枝・訳 新潮社 昭和37年

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