予想通り、映画をまた観たくなった:Virginia Woolf “ORLANDO A Biography”


ロケ地にまで行ってしまうくらい映画の「Orlando」が好きだったのもあって、いつかは読みたいと思っていた原作の「Orlando」。
本を買ったはいいけれども、まったく手をつけず幾年か経ってしまったのだが、やっとこさ読み終えることができた。

ということで2011年初の本は「ORLANDO A Biography」でありました。
映画とは割と雰囲気が違うお話だったのは明記しなくてはいけないが、小説・映画ともに面白いものであるということも追記しなくてはならない。
もちろん小説が先行なので、私の「Orlando」への認識は逆でなくてはいけないのだが、あえて言っていますと「小説も面白いじゃん!」
逆に言えば、「あの映画、よくできてたのね」

ざっとした話の流れを書いてしまうと、エリザベス朝時代の青年であったOrlandoの青年期から現在(初版は1928年)までの伝記、という形をとった小説である。しかも、最初男性であったのに、ある時を境に突然女性になる。
もっと端的に言うと、三重にわたって旅をしたOrlandoという人物の物語で、その三重とは;1.土地(生まれはイギリスで、イスタンブールに行ったりする。しかも屋敷を追われたりする) 2.時代 3.性別 となる。

非常にユニークなのは、なぜOrlandoが女性になってしまったのか、とか、なんでこんな長生きしているのか、という説明がなされていない点だ。
というか、Orlandoが交流する人(主に文学者)で時がものすごく経っているのに気付く、というあいまいさ(最後の方ははっきりと“18世紀”とか“現在”とか出てくるけど)。文学者の知識がないもんだから、“あれ?小説版のOrlandoは時を旅しないのかしら?”と思ってしまったよ。。。

映画の「Orlando」は、フェミニズムの色を前面に出している感じだけれども(Orlandoが産む子供が小説では男の子だけれど、映画では女の子というところからも伺える?)、小説の方は、確かにフェミニズムの影がまったくないわけではないが、むしろ文学についてが書かれていると思った。
特にOrlandoが、自分が書いた“The Oak Tree”という詩をずっと持ち続けているのが象徴的だし、最後にほぼ無理やり出版させられて喪失感を感じたり、賞を取った後も“賞”や“名声”について疑問を持つのも印象的だった。

総合的にはとても好きだったのだが、ひとつ気に入らないところが。
Orlandoの肖像画ということで、肖像画や写真が挿入されているんだが、どうもこれがイメージをぶち壊している。
特に初版の表紙絵だった肖像画なんて、“おっさんやん…”といったものだし。
映画のイメージもあって、歳を取らない中性的なイメージを持っていた私としては、非常に非常に非常に残念だった。。。
最後に好きなフレーズをあげておく。

この文章だけだと意味は不明だけど続く感じが好きだったので;

The flower bloomed and faded. The sun rose and sank. The lover loved and went. And what the poets said in rhyme, the young translated into practice. Girls were roses, and their seasons were short as the flowers’. Plucked they must be before nightfall; for the day was brief and the day was all.

(p20)

Orlandoがかわいらしかったので。実際、映画よりもかわいらしく描かれている;

She tried to go on with what she was saying; no words came. Next she began to decorate the blot with wings and whiskers, till it became a round-headed monster, something between a bat and a wombat.

(p164)

Virginia Woolf “ORLANDO A Biography” 1994, Penguin Books

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