私も映画「ブラザー・サン シスター・ムーン」は怖かった:恩田陸 「ブラザー・サン シスター・ムーン」


久しぶりに恩田陸さんの作品を読んでみたくて、図書館に行った際に適当に手に取ってみた一冊が「ブラザー・サン シスター・ムーン」。
私の中での恩田陸の印象は“外れが(ほぼ)ない”というものなのだが、確かに外れではなかったが、“アタリ”でもなかった。

なんというか、驚くほど内容がなく、当たり障りのない作品だったのだ。もしこれが図書館ではなく自分で買っていたのであれば、『金返せ~~~!!!』と思ってしまうほど。
話は三部で構成されており、それぞれ違った人物―女性一人、男性二人―の目線で書かれてある。
第一部は女性の一人称で書かれており、第二部は男性の三人称で、第三部は対象人物がインタビューを受けているという設定で、インタビュー受けている情景を三人称、それに応えての心の内の一人称で書かれている。

そして内容はというと、なんというかそれぞれの大学生の頃の話。
三人は同じ高校出身で、しかも高校の時の課外授業(みたいの)の班が同じだったという関係で、それなりに知り合い。そして同じ大学に通ってもいた。
なので、ちょっとずつ交差しているのだが、基本的にはそれぞれの大学時代や高校時代について思い出している話だ。

一応、その三人が課外授業の一環である街にインタビューに行った時に体験した不思議なこと―人っ子一人いなかったり、突然どこかから蛇が川に落ちて泳いだこと―が書かれているが、それがキーになることもなく、だからなに?といった感じ。
それだけの話を飽きさせずに最後まで読ませるのは、さすが恩田陸、といった態だけれど、物語を読んだ感じはまったくしない。

ただ淡々と、さらりとしていて、つかみどころのない話だった。
正直、すぐに記憶からなくなってしまうくらい、印象のない話だった。


恩田陸 「ブラザー・サン シスター・ムーン」 2009年 川出書房新社

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