「コレクター福富太郎の眼」@あべのハルカス美術館

行った日:2021/12/11
★★★☆☆
本日のBest:川村清雄《鳩と静物》

感想

「キモノ・ア・ラ・モード」の後にちょっと移動してあべのハルカス美術館の「コレクター福富太郎の眼」展へ。
大分昔に福富太郎のコレクション展を見たことがあって(多分)、その時になかなか良いコレクションだったのを覚えていたので、「キモノ・ア・ラ・モード」の後に行かない?と友人を誘ってみたのだった。

こういったコレクション展の面白いところは、色んな作家の作品が集結するんだけれども、コレクターの趣味が反映されるためか、どこかしら雰囲気に似たところがあって、バラエティに富みつつもまとまりも感じるところだと思う。
福富太郎はあまり上村松園を好まなかったというエピソードからも分かるように、好みがしっかりしているので、”うん、上村松園系ではないな”という感じのコレクション群だったのも面白かった。

割と見たことのある作品が多かったけれども、今回好きかも…と思ったのが池田輝方だった。
妻である池田蕉園のことは作品もよく見たことがあったけれども、あまり輝方の方は知らなかったので、ちょっとあどけない感じが可愛いくて好きかも…となった。あどけなさのなかに憂いも感じるところがなんか良い…

と言いつつ、本日のBestは違う人なんですが…

ここで簡単にまとめると…

こんな人におすすめ

  • 日本画が好き
  • 日本における黎明期の洋画が好き
  • ちょっと不気味な感じの絵が好き

展覧会のこんなところが良かった

  • 日本の近代画家が網羅的におさえられている(日本画から洋画まで)
  • 作品数が適度でゆっくり見れる
  • コレクターがどのようにコレクションするのか、まさに「眼」の視点があって興味深い

印象的だった作品

図録を買っていないので、葉書で買ったもののみ。しかも本日のBestは葉書になっていなかった…残念。

池田輝方《お夏狂乱》

狂女というと、上村松園の《花筐》を想像してしまうけれども、こちらは狂いきっていない感じで、むしろ若い女性の戸惑い・やるせなさが表現されている気がした。これがもっと進むと、”狂乱”にいくのかな…みたいな。

池田輝方《幕間》

右隻は江戸時代の風景、左隻は近代(明治から大正?)の風景、と、同じ情景で時代が違うという趣向が面白い。
どちらも芝居を見ているウキウキ感はあって、時代が違えども楽しさは一緒なのを表現したかったのかなーと。

竹久夢二《かごめかごめ》

こどもだちが輪になってかごめかごめをしている風景を描く。
イラストっぽい絵の調子なんだけれども、割と大きな作品になっていて説得力がある。可愛いフォルムでありつつも、色調はなかなか渋いので、可愛すぎないというのもポイント高い。

北野恒富《道行》

ポスターにもなっている作品。以前も見たことあるけれども、やっぱり迫力すごいなーと。
二人とも顔が結構怖いんだけれども(特に男は目がいっちゃってる…)、それが妖怪じみてて余計、この世のものに見えない、死に急いでる二人に見える。
なんでもテーマがテーマだけになかなか売れないものを、画商が福富太郎だったら買うだろうとふんで、声をかけてきたそうな。そらこんなまがまがしいの、買い手はなかなかつかないだろうな。。

松浦舞雪《踊り》

こちらも以前見たことある作品で、何度見ても楽し気でいいなーと思った。
よく見ると、輪郭をうっすら赤っぽい色でぼやかしていて、遠くから見ると、提灯の光に身体が照らされているように見える。
背景はないけれども、宵頃に、提灯の光に照らされながら、楽し気に踊っている雰囲気が感じられる。

川村清雄《鳩と静物》

本日のBest。川村清雄は《蛟龍天に昇る》をどこかで見たことがあったけれども(もしかしたら本とかでかも)、それにはあまり感心していなかった。
が、この《鳩と静物》は好みドンピシャ。厚塗りしているような感じがなんとも言えず好き。他の作品も是非見てみたいと思った。

チラシと出品リスト

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