南条氏の略歴「東京・銀座生れ」ってなんかすごいな:南條範夫 「駿河城御前試合」


割と昔に“読みたい本リスト”に入れていたが、図書館にないことが多く、やっと借りれた「駿河城御前試合」。
漫画にもなっているようだが、読んでみると確かに漫画になりやすいかも。

徹底したエンターテイメント小説だった。なんせ美男美女の出現率が90%。

“いわゆる寛永御前試合は後世のフィクションであり、実は、寛永六年九月駿河大納言徳川忠長の面前で闘われた十一番の異常な勝負であったという。”(扉より)と書いてあるが、いかんせん“寛永御前試合”というものを知らなかった無知ぶりだったので、ほ~という感はなかったが、面白かった。

試合十一番を一つずつ描いて連作のようにしているのだが、その試合に至った経緯や、剣の工夫、それから試合の様子を細かく書いてある。

経緯というのがほとんど女性関係問題―美女が絡んでいる―だったり、どこか異常な人がよく出てきたり、勝手欲しいと思う人の方が高い確率で勝ったり、というのが本当にエンターテイメント。

その戦い方も生半可なものではなくて、試合は片方が死ぬまで行われる。時には両方死んでしまう。
そして醍醐味の一つである、剣法の描写が緻密。しかも11番×2の方法を、あとがきによれば、作者がひねり出しているのだからすごい。


南條範夫 「駿河城御前試合」 昭和58年 河出書房新社

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