そういえばこの間行った彦根城は井伊直弼の城なんだよなぁ:福地源一郎 「幕末政治家」


久しぶりに「書評家<狐>の読書遺産」から読んでみようとしたら、今回のペアはこれまでになくしんどかった…
まずこの「幕末政治家」、明治時代に書かれたようで文体が並大抵なもんじゃない。そしてもう一つの「美食の歓び」も図書館にないわ、内容的にも読みにくいわでこちらはまだ読みきれてない…

それはさておき、きっちり意味を理解して読むのは無理だと早々に分かったので、なんとなく読みにすることにした。
そうしたら段々面白く感じるようになった。

幕末というと、坂本竜馬とか新撰組だとか、いわゆる下級武士とか武士でない者が活躍したイメージである。
ところがこれは、本当に幕府の政治家にスポットを当てているので、新鮮で面白かった。
特に、安政の大獄で有名な井伊直弼が割とよく書かれているのが意外だった。
抜粋するとこんな感じ;

其行為の跡を察すれば、「時勢に逆行し輿論に背反し、不測の禍害を徳川氏に与へて、其衰亡の命脈を促したり」との断案を受ること、決して辞すべからざる所なりと雖ども、幕権を維持して異論を鎮圧し、其強硬政略を実施するに於ては、其為断行して更に仮借する所なきが如き、決して尋常政治家が企及し得べきに非ざるなり。

(p86)

当時もし井伊大老をして真に開国の卓識を有せしめ、自から上京して開鎖の得失利害をば、堂々と聖天子の御前にて弁説する事を得せしめば、不世出の御聡明にておはします、豈に大に聖意に適ひて浮雲を披いて天日を見るが如きの壮快なかりしとせんや。惜哉その此に出ること能はざりしは、井伊大老に開国の識見なかりしが故なるのみ。

(p121)

擁護はしつつも結局識見がないと言っているのだが…。

この後の久世安藤内閣は比較的頑張っていたのだが、井伊派だったということですぐ罷免されてしまうのも、著者はしきりに残念がっている。
そして久世安藤内閣後の政治家たちは、あまりぱっとしなく大政奉還に至ってしまった…となっているので、本当に井伊直弼が要となった文章となっていた。
と思う。

私のなんとなく読みによれば…

福地源一郎 「幕末政治家」 1989年 平凡社

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