刑務所内の売店の充実度にびっくり:有村朋美「プリズン・ガール」

立ち寄ったジュンク堂でアメリカフェアの中にあった「プリズン・ガール」。
日本人女性が体験したアメリカ獄中記…絶対面白い!
と思って即図書館で予約(ジュンク堂にいても買わない…ごめんねジュンク堂)。

他の本にかまけている内に延滞になってしまい、慌てて読み始めたのが木曜日の夜。
そしたらあまりに面白くて、しかも読みやすいのもあって一気読みしてしまった。まだ木曜日なのに!
おかげで金曜日は眠かったのだが…

著者の有村朋美さんは、語学留学先のニューヨークで突然FBIに連行される。
彼氏がロシアンマフィアでドラッグディーラーだったのだ。
彼が捕まってしまったのもあり、有村さんも捕まってしまう。
もちろん彼女は彼の仕事を一度も助けたことはないのだが、アメリカでは荷物の郵送にクレジットカードが必要らしく、彼にカードを貸してしまっていたそうだ。もちろんその荷物というのはドラッグ。
また、合鍵を持っている彼氏は、有村さんが不在中にドラッグを部屋に置いたりもしていて、そういうのがすべてFBIに握られていたというのだ。本人は全然知らなかったのに……

“知らない”ということを証拠立てて証明するのは難しいと弁護士に言われた有村さんに残された選択肢は;
 (1)無罪を主張し、裁判を闘う→敗訴する可能性の方が大
 (2)自らの有罪を認め、量刑審判を受ける→裁判で負けた時の約半分の求刑となる
 (3)司法取引する
その中で(2)を選んだ有村さんはコネチカットにあるFCI(連邦刑務所)に2年服役することになる。

ところが恋人のアレックスには、実は妻がいて子供2人いて、しかももう一人愛人がいて、こちらも妊娠中だったそうだ!
それをFBIに言われて、突然手錠をかけられた時よりもずっとずっとショックだった…というのは、なんだか非常にリアルだった。やっぱりイベント的なものよりも“人に裏切られる”ということの方がずっとショックだよなぁ~と。

さて有村さんが入れられたFCIは割と自由なところだった。
もちろん刑務所だから“楽しい”わけではない。
でも手続きの関係からしょっぱなに懲罰房に入れられ、散々な目にあったためか、その後の生活に対してそこまで憂欝に感じなくて済むようになる。

FCIの囚人は主にドラッグ関係で捕まった人が多いせいか、プエルトリカン、黒人が多かったようだ。なんと白人がマイノリティー。
有村さんは入ってすぐの頃に、しきりに色んな人から“ここは悲しい所だから”と言われる。
刑務所なんだから楽しいわけないのだが、“悲しい”というのは、たった一回の過ちで家族とばらばらになってしまい、時には終身刑やら、懲役200年などになってしまう。

非常に印象的だったのが、中には司法の抜け道を必死に探そうとして法律図書館に通い詰める人がいるということだ。
彼女たちは「私はだまされてここにる。私は悪くないのに…」と主張しているという。

「自分は悪くない」と信じこんで刑に服するのは、本当につらいだろうな、と。私はアレックスがロシアン・マフィアだと知ってつきあっていたのだから、そのこと自体が悪かったんだといわれればあきらめがつく。事実、そう割りきった。そして、自分の「罪」を認めた。そして、だからこそ泣きごとをいわないでおこうと決めた。…
 だけど、ミス・ビビや、あの法律図書館に通う人たちは、あきらめがつかない人たちなのだ。五年、一〇年、二〇年と、あきらめがつかないまま、ここで生きなければならない。それは、どんなにつらいことか。(p214-215)

罪を認めるということは、自分を受け止めること、それは自分を救うことにも繋がるのか~と初めて気付いた。

などと書いたけれども、基本的にこの本はあっけらかんとした印象を受ける。
FCIの人々や生活を軽いタッチで書いてある。

アメリカならではの管理のなってなさ(有村さんが入った時の担当が適当すぎてお金を取られたり、オリエンテーションがなかったり、挙句の果てには帰国直前にFBIに提出したパスポートが失くされてたことが発覚したり)、個性的な人たち(刑務所に入ってるからにはね…)、洗濯機や乾燥機、電子レンジを巡るバトル、スタッドと呼ばれる男役の人たち、レズカップル続出とそれにまつわるゴシップ話などなど。

よくよく考えたら、そんな魅力的に書いてたり、“可哀想な人”という態で書いてあったりするけど、でも罪人なんでしょ!という感じ。

正直、著者だってニューヨークに来た理由や生活態度、文章の節々から感じるに、“なんとなく海外にいるふらふらしてる人”っぽいし。捕まるとか以前に、父親が具合が悪いのに、将来のあてもなくふらふらとイケメンの外国人といちゃついてて(実際、彼氏だけがアメリカにいる理由みたいだったし)いいの!?って感じがしなくもない。
現実にお会いしても絶対友達になれないタイプな気がする。

でもやっぱりアメリカの刑務所生活なんて一生送れないし(逆にそう願う)、本の中身としては大変興味深かった。


有村朋美 「プリズン・ガール」 2005年 ポプラ社

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