読んでいると手越の顔がちらつくとはテレビ(映像)の力はすごいな:畠中恵「しゃばけ」

ずっと人気のようで、ついでにドラマにもなり、絶対読んでみたいと思いつつも図書館ではずっと貸出し中。私の周りで読んだ人がいなくて本当に面白いか分からないため、買うほどのものなのかも分からないしぁ、と思い先延ばしになっていた本。それが「しゃばけ」でした。それがこの間図書館に行った時、まぁないだろうなぁ、と思って「は」の本棚にいったら普通に何食わぬ顔してあるじゃないか!うほうほになって借りて帰る。

大体において、妖怪だとか化け物だとかそういった類の本が好きなので「しゃばけ」は面白そうだと思って仕方なかったのだ。

最初のシーン。暗闇の描写からして引き込まれた;

 厚い雲が月を隠すと、江戸の夜の闇は、ずしりとのしかかるように重かった。
 前も後ろもない、うっかりその闇の中に踏み込んだら、そのまま落ちていきそうな、ひやりとする暗さ。その黒一面の中を、提灯の明かりがぽつりと、わずかに夜をわけて進んでゆく。

p3

主人公は長崎屋という大店の一人息子一太郎。この若旦那、非常に体が弱くて生き死をさまようことはざらにある。でもそれだけでなく、若旦那にぴたりと付いていて守っている二人の手代仁吉・佐助は人間ではなく妖白沢・犬神だったりする。当然、若旦那はそれ以外の妖も見ることができる。

話の発端は、若旦那が体が弱いというのに夜に出歩き殺人事件の現場に居合わせてしまったところから始まる。殺人はそれ一件にとどまらず、なぜか薬問屋ばかり狙われ、そしてその都度違った下手人が捕まる。一体何故、こんな似たような事件が続くのか。

とここからあっさりネタをばらすと、

妖が一枚かんでいたからだったのだ。
最終的には若旦那がなぜ体が弱いのかとか、なぜ妖が付いているのかとか、などなども明かされ、一応めでたしめでたしで終わることとなる。

話全体的には、最初こそワクワクすれども、のめりこむこともなく終わってしまった。それが期待しすぎたからなのか、それともその作品ゆえなのかは分からないが、宮部みゆきが同じ題材で書いたらもっと面白かっただろうなぁ、と大分失礼なことを思ってしまった。

それでも本屋に行けば、結構な売れ筋みたいだし、シリーズを読み続けてみようかな、と思った。

(畠中恵 「しゃばけ」 2001年 新潮社)

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