京都画壇を網羅的に知れる本:『近代京都日本画史』

関西圏の展覧会に行くとお目にかかる機会の多い、いわゆる”京都画壇”の作品。

個人的に”日本画”というジャンルが好きなので、そういった展覧会にも行くのだけれども、いまいち画家たちの関係性などを理解できておらず(上村松園の師匠が竹内栖鳳だな~レベル)。
そんな時に見つけた『近代京都日本画史』。

割と最近出版された本で(2020年)、タイトル通り、近代京都の絵画の流れを網羅的に把握できる、入門書としてぴったりで、しかも唯一の本ではないでしょうか?

ということで、おすすめポイントをまとめてみました!

ポイント1:全ページがカラー!

美術に関する本であればカラーなのか、白黒なのかが重要かと思います。

本書は、作品や写真、すべてカラー!
しかも作品が結構大きく掲載されているので、絵の雰囲気を十分感じられるのもGood。

これだけで十分とっつきやすくなっているので、入門書として最高だなと思います。

ポイント2:主要な画家が網羅されている

本書は「近代」と銘打っており、具体的にいつからかというと、幕末から第二次世界大戦後までです。

その時代に、京都で活躍した日本画家たちが、簡単な経歴と代表作とともに紹介されているため、ぱらぱらっとめくるだけで、どんな画家たちがいたのか確認することができます。

すべての画家にたいして代表作が載っているので(美術史本によっては、名前だけで作品が載っていない時もあるじゃないですか…)、名前と画風が把握できるのもGoodポイントかなと。

あと単純に、色んな画家の作品を見れるのも楽しい~
お気に入りの画家も見つかるかも?

ポイント3:時代背景・動向なども分かるようになっている

画家伝だけではなく、わりとしっかりとした、各時代の時代背景、画壇の動向、各派の説明などもあって、読み応えもばっちりあります。

といっても、概略となっているので、そんな難しくなくとっつきやすいと思います。

近代というと、西洋の文化が入ってきて、わーーーーっと色々変わった時代ですが、その勢いというか熱量というか、いろんな人の理想や、それに向かっての試行錯誤が垣間見えて面白いです。
特に「日本画」に特化しているので、西洋の絵画に対しての「日本画はどうあるべきなのか」の模索がなかなか興味深い…

あと、各章に「その頃、東京では」というページがあって、どんな時代だったのかという時代把握がしやすくもなっているのもポイントかなと。

ポイント4:画家たちの写真もふんだん

絵ではなく、実際に画家たちの写真も色々と掲載されているのが、個人的にとってもツボでした。

何よりも集合写真がなかなか興味深い。「竹杖会写生行の思ひ出」とか、ふざけている人とかもいて、おちゃめな姿も見れるのがかなりのツボ。

かなりの余談ですが、やっぱ着物姿かっこいい…と思いました。袴はくと2倍ほどかっこいい…

さいごに

たぶん、京都画壇の絵画史が書かれた本ってこれまでなかったのではないでしょうか?
そういった意味でも、”待ってました!”といいたくなる本だと思います。

近代の京都で、しかも日本画、とかなり特化した本とはなっていますが、日本の画壇において重要な位置をしめているのは間違いないでしょう。
時代背景などを知ることで、展覧会に行くのがもっと楽しくなると思います!

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